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「まだ開いててよかったぁ」
夜はセキュリティのため教室に鍵がかけられると噂されているため、回収できないという最悪の未来を回避できてほっと胸を撫でおろし下駄箱に再度向かう
(ん?なんか話し声が聞こえるか?)
下駄箱近くまで行くと男女の話声が聞こえてくる
「本当にそういうの良いやめて」
「いいじゃん、あきちゃんも暗い中一人で帰るの不安でしょ?途中まで一緒に帰ろうよ」
「大丈夫だから」
「駄目だよ、最近は不審者も増えたってニュースはよく聞くしね」
「不審者と小嶋の共通点は人の話をよく聞かないってことかもね」
「ははは、ひどいこと言うなぁ」
(うわぁ、あれが小嶋かぁ)
男女の話し声はどうやら篠原と小嶋だったようだ、一緒に下校したい小嶋と一緒に帰りたくない篠原で意見のぶつけ合いを行っているようだった。
(うーん、ここで面倒くさいことに巻き込まれたくはないが、帰るため下駄箱に行かないといけないのも事実)
割って入って小嶋にいちゃもんつけられるのが一番面倒くさいと判断した敏則はそろっと靴を回収して帰る道を選択した
(幸いクラスが違うから下駄箱も少し離れてるしな、達者で帰れよ篠原)
南無南無と篠原を切り捨てる選択をし、二人の口論をBGMとしながら上履きをしまって靴を出した
(篠原がんばれー)
心の中で軽いエールを送って靴を片方履いた瞬間であった
「あぁ、もう!私はもう帰るから!」
「うん、じゃあ帰りながら話そうか」
「そうじゃなくて!…え?」
(やっべ)
勢いに任せて靴を履き始めた篠原vsそれを追いかけて靴を並べる小嶋vsダーク○イ(俺)
篠原の目が完全にこちらと合い、小嶋も篠原が見ている方向に目を向けた後首を傾げている。
「……あんた、今から帰るのよね?」
(訳:あんた今のやり取り聞いててほっといて帰ろうしたよなぁ?)
「は、はいそうです」
(訳:は、はいそうです)
やばい、篠原の顔が笑ってない、ガチの怒りモード全開だこれ
「し、篠は」
「良い?小嶋、私はこいつと帰るから一人じゃない。心配してくれるのはありがとうと素直に言っておくけど本当に大丈夫なの」
「そうなんだ、ちなみに彼とはどういう関係なのかな?」
「と……彼氏よ」
「…!」
「いや、違います」
「…!?」
何故か彼氏と言い張る篠原、びっくりする小嶋、否定する敏則、びっくりする篠原
「…えっと、つまりどういう関係なのかな?」
顔を赤くしながら人を殺せるんじゃないかという程睨んできてる篠原を出来るだけ視界に入れないようにしつつ小嶋に返答する
「友達だよ友達、一緒に帰るのは本当、方面も一緒なことがこの間分かってな」
「へぇ、どこ住みなのか聞いても良いかな?」
「お兄さんさぁ、最近はプライバシーについてうんちゃらかんちゃら言われる時代だぜ?初対面の人に教えないって」
「そうか、僕も一緒に行って良いかな?」
「それは篠原に聞いてくれ、俺は貴方と今初めて会ったんだ。友達の友達とかならそう思うが、今の会話を隣で聞いた後じゃ判断がつかない」
「そうか、これ以上はしつこくなってしまうし今日は身を引こうかな?またね、あきちゃん」
「………」
そう言うと小嶋は颯爽と校門まで向かっていってしまった。
そして残ったのは
「………」
「………」
ここから入れる保険ってありますか?出来れば生命保険
「……私のこと見捨てようとしたわね?」
「ぎ、逆の立場だったら篠原は俺のことを助けるのか?」
「…まぁ助けないかな」
「だろう?」
「でもそれはそれ、実際に起こって実際に捨てたのはそっちよ」
「面倒ごとが嫌いなんだよ、仕方ないだろ」
「私と交際してるっていうのも面倒くさくなるから断ったのね?」
「当たり前だろ、お前は自分でもいうくらい見た目が良いんだ、篠原のクラスの男子に俺は殺されたくない」
「その結果私に殺されるわけだけど」
「ふざけるな、弁護士を召喚する」
しばらく見つめあっていると篠原が深くため息をついた
「………はぁ、八つ当たりだってことはわかってるわ」
「まぁ、そりゃそうだよな」
「いつもネチネチしつこいんだけど今日はネバネバしつこくてイライラが溜まってたのよ」
「まぁ見てるこっちもハラハラしたし、バレたときはドキドキしたけどな」
「あんた、カタカナ二文字を2回使うと結構表現できるなぁとか思ってない?」
「そんなこと思ってるわけないだろ」
なんでバレバレたんだよ
「まぁ、友達としての立場でちゃんと言い返してくれたから許してあげるわ」
「いや、巻き込まれたのは俺なんだから許すも何も」
「そのお口?私に反抗的なのはそのお口かしら?」
「はい、すみません」
「はぁ、じゃあ帰るわよ」
「あ、そこは本当に一緒に帰るんだ」
「仕方ないでしょ、この後何かの拍子に小嶋にあったら面倒が過ぎる」
「まぁそれはそうか」
「あと」
「まだ何か?」
「…連絡先交換しておきましょ」
「え?なんで?」
今の今まで交換するメリットがなかったので全く気にしていなかったがまさか篠原から言ってくるとは思わなかった。
「図書委員遅れる時もあるかもしれないし、またこの時間に小嶋が絡んできた時はSOSを出して逃げられなくするわ」
「わーお、メリットデメリットの表示ありがとう」
「拒否権はないわ」
「拒否する理由もないわ」
「そ」
SNSの交換を行い駅に向かい始める。
駅につくまで小嶋の日頃のネチっこさを語り続けた篠原は、駅についたころにはすっきりいているようだった。




