表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友達の恋路より自分の恋路  作者: 田中 一
4/7

4

「………」


「………」


 場所は図書室、お互いに難とも言えない顔で見つめあう二人は下から見上げる敏則と見下している篠原、何故こんな微妙な空気が流れているのかと言えば話は10分前に遡る。


 GWも終わり地獄の通常授業を終えた俺は図書委員の責務全うすべく貸出カード席で座っていた。しかし、おかしい、何時まで経っても三枝が来ない。


「教室出る時に声はかけたし、あいつも行くって言ってたよな?」


 ちょっと用事あるから済ませてから行くと言っていたため最初は「まぁ少し遅れるのだろう」くらいの気持ちだった。しかし既に放課後になって40分は立っている現状を受け、遂に1つの結論にたどり着いた


「うん、あいつサボったわ」


 まぁ、いつかやるとは思っていたのはいたのだがまさか初日から仕掛けてくるとは思わなかった。


(苦情は明日言ってやるとして仕事をちゃんとやらないとな)


 図書委員の仕事は多くはない。しかし、元々2人に割り振られていたものを1人でやる必要があるということが確定した今、少しでも早くこなしておくのが良いだろう。そう思い図書整理を始めた。

 最初こそ問題なく整理できていたのだが、本来推理小説が置いてあるコーナーになぜかぽつんと置かれた少しボロくなったライトノベル。


「おいおい、まさか適当に借りて適当に返したとかじゃないだろうな」


 一番面倒くさいパターンが頭をよぎる、手続きを適当にやった人間を確認する作業を明日以降しないといけないとなれば、敏則の勉強(格闘ゲーム)時間が減ってしまう。


「はぁ、とりあえず中身を見てみるか」


 手に取ってみなくては始まらない、そう思い本を棚から抜いたところで

 バサバサッとほんの中身がこぼれ落ちた


「おいおい」


 敏則は慌ててページを拾おう屈んだ。すると影があることに気づく


(ん?いつの間にか誰かいたのか)


 敏則が推理小説棚の違和感に気づいた時には誰もいなかったと思うのだがとしゃがみながら上を見上げる。それが良くなかった


「………」

「………」


 篠原を下から見上げるように眺めることになってしまった。それに対する篠原は「何やってんだこいつ」という顔


「………」

「えっと、下から見上げられてもパンツなんか見えないわよ?今のご時勢みんな重ね着してるんだから」

「んなことは知ってるし見たからわかる」


 敏則は立ち上がりながら答える


「へぇ、ちゃっかり見てるんだ?あんたむっつり?」

「見上げた時に見えただけだ、むっつりかどうかについては好きに言え」

「そ、つまんない反応」

「そもそも篠原が俺の一連の流れを見た上で距離を置かなかったんだからもし何かが見えていても篠原が悪い」

「ふーん、私のせいにするんだ」

「知ってるか?男はこうやって盾張らないとすぐに捕まっちまうんだぞ?」

「なら見たとか言わなければいいのに」

「それはそうだがまぁ、話の流れだ」

「そ」


 篠原は推理小説棚に目を向けると本を選び始めた


(まぁ推理小説を借りに来たんだろうしな)

「俺はこの壊れてる本のこともあるし戻るぞ」

「ご勝手にどうぞ」


 篠原と会うのはこれで2度目のはずだが、既に会話は殴り殴られだ……俺が少し多めに殴られている気もするが。

 受付に戻った敏則は本をあの場所に置いた人が誰であるか調べ始めたが残り時間は少なく、最後に借りられたのは4ヶ月前で、借りていたのは卒業生、ちゃんと返していた事が分かった。つまり傷つけられたのは4ヶ月以内というか。


(4月になる前に去年の図書委員が見ているはずだし、犯行が行われたのはここ1ヶ月以内だろうなぁ。)


 推理小説棚に置いてあったせいか少し探偵になったみたいで楽しい。

 図書室の利用はそんなに多くないみたいだし、この図書室には出入り口辺りにのみだけど監視カメラもついてる。明日はそこら辺を漁ろうかな等考えていると受付に人が来る


「はい、返却ですかそれと…」

「なんかさ、おもしろいことやってるね?」


 笑顔を浮かべた推理小説を借りに来た篠原がそれはそれは私も混ぜろという顔やってきていた。


「篠原が担当の時にやれば良いだろ?わざわざ俺の手伝いをする理由なんてないはずだ」

「ん~、あるって言ったらどうする?」

「は?」

「だからぁ、あんたと一緒に図書委員の仕事をやることが私のプラスになるって言ったら…どうする?」


 篠原はさっきよりも蠱惑的な笑みを浮かべこちらを覗いてくる。しかし、相手は篠原だ、ひっかけに決まっている。ともすれば本当に理由があるはずだ…


「………」

「どう?わかった?」

「わからん。が、お前が俺に変な妄想をさせてからかおうというのはわかった」

「あー、バレたうえにお前とか言われた最悪」

「うるさい、そんなからかい方してくるのが悪い」

「ちぇっ、まぁその通りだよあんたなんか誘惑してもねぇ~」

「はいはい、なんかで悪かったな?それで、実際のところは?」

「あー、私のクラスの図書委員がね、こう…なんていうかさ?明らかに私を狙ってきてます感全開なんだよね」

「は?」

「いやね、私が図書委員になったら急に立候補し始めるし、図書委員同士ってかこつけてお昼誘ってきたり授業でグループになろうとして来たり面倒くさいんだよね。そしたらさ、なんかここに面白いの抱えた上にクラスメイトに見捨てられた可哀想で哀れな藤沢がいるじゃん?だからさ、あんたの相方と図書委員の期間を交換してもらおうと思ってね」

「三枝がその条件を呑むのか?」

「ん~、私の相方って小嶋なんだよね、知ってる?」

「あー?あぁ、小島ね?知ってる知ってるでもそんなの関係ねぇじゃん」

「そっちの小島じゃないに決まってるでしょいつの時代の話よ…バスケ部の小嶋、女子人気は高いみたいだからあのギャルみたいな人は喰いつくかなって」


(そういえばあんたじゃなくて小嶋君が良かったみたいな愚痴を言ってたような気がするような…しないような…)


 三枝の話は基本ノイズなのでまともに取り合っていないためかすかな記憶が少し顔を出した程度だった。


「大体事情は分かったが、篠原から三枝に言ってくれよ?俺三枝苦手だから」

「はいはい、いいですよー」

「んじゃよろしく。今日はもう閉館するから」

「はいよ」


 そう言って篠原は図書室を出ていく、そこには推理小説がそのまま置かれていた。


(あいつ借りるの忘れていったな…まぁ明日来るみたいだしその時言えばいいか)


 そう思い本を受付内に移動させ図書室を閉じて帰宅するのだった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ