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友達の恋路より自分の恋路  作者: 田中 一
3/7

3

 GW当日、上野駅で待っていると康太がやってきた。


「悪りぃ!待たせたか?」

「いや、別にいいんだがそれより」

「あ、あぁ、すまん…」

「いや、良いんだけどさ」

「本当にすまん!俺のためだと思って!」

「わかったわかった」


 会って早々に頭を下げてきた康太、その理由は


「お待たせ!今日は割り込んじゃってごめんね~」

「……よろしく」


 やってきたのはクラス委員の小林さんとどこかで見たことがあるような子がこちらにやってきた


「改めてだけど私は小林桃子!で、こちらが」

「篠原あきです。クラスは違うんだけど同学年よ」

「ご丁寧にどうも、俺は藤沢敏則だ」

「俺は佐伯康太、よろしくな」

(なんかどっかで見たことあるんだよなぁ篠原さん)


 篠原さんは黒髪ロングに金眼が特徴的とても綺麗な女性だなという感じの子だった、頭のどこかに引っかかりを覚えていたが…

 しかし思い出すまでは至らないので悶々とした気持ちを抱えながらとりあえず全員で歩き始めた。


「いやー、本当にいきなり一緒に行っていいか聞いちゃってごめんね?」

「いや、俺もせっかく同じクラス委員だし仲を深めたいと思ってたからうれしいよ。でも篠原さんはどうして?」

「私は桃子が男子二人と服買いに行くとか言い始めたから心配でね、二人には悪いけどまだ出会って1ヶ月しか経ってないのに信用も何もないでしょ?」

(おいおい、歯に衣着せない人だなぁ…言いたいことは分かるけど)


 篠原さんはかなり言いたいことをバッサリ言うタイプのようで小林さんが苦笑してフォローしている。


「あはは、ごめんね?あきちゃんはちょっと私のことになると過保護になっちゃって」

「まぁ小林は可愛いもんな、気持ちは何となくわかるよ」

「かわっ…!」

「………」

 

 篠原さんは無言でにらみつけているが康太には効いていない。というか康太結構天然なのか?俺のためにって言ってたし小林さんのことを好意的に見ているというだけか。


「じゃあとりあえず行こうか」


 このままイチャイチャ空間を広げられても困るので目的の店に行くように促す。

 が、ここで問題が発生する。


「………」

「………」

「キャッキャッ」

「わ~いわ~い」


 そう、小林さんと康太で話が弾みすぎて余り物の敏則と篠原さんはお互いで喋ることはない。そのため前は楽園、後ろでは地獄の空間が繰り広げられていた。


「……あんた、藤沢だっけ?藤沢から見て佐伯ってどうなの」

「康太か?うーん、俺も1ヶ月の付き合いだから全部は知らないけど、良いやつだよ?宿題をやってこないのが玉に瑕だがそこ以外は言う事なしだ。背も高いしな」

「背は関係ないでしょ、藤沢も十分高いし…でもそっか、悪い奴ではないのねとりあえず」

「そうだよ、小林さんについて聞いてみても良い?」

「まぁそうね、とっても可愛いでしょ?その割に異性に壁もないから結構軽く見られやすくって…いつもは相手が踏み込んできた時に上手いこといなしてるから良いんだけど」

「良いんだけど…?あぁ、今回は小林さんがってことか」

「察しが良くてキモイね?今回は桃子が佐伯に一目惚れしちゃったみたいなのよね…」

「キモイって……じゃあ友達の恋路を応援するしかないけど心配が勝っちゃったって感じか」

「そうよ、悪い?」

「いや?良いんじゃない?」

「あそ」

「ていうか小林さんの情報あったか今?」


 そんな話をしていると目的の服屋に到着する。

 ここでは流石に4人であーでもないこーでもないと誰に何が似合うかを話し、店を変え、気分を変えあれやこれやをして気が付けば夕飯時となったため、ファミリーレストランに行くこととなった


「いや~、今日はなんだかんだ楽しかったなぁ!」

「そうだね!男子の意見も行けて嬉しかったよ」

「まさかアロハシャツが俺に合うとはな…」

「私はアロハシャツ嫌いだけどね」

「知らねぇよ、おすすめしたのはそっちだろうが」


 何故か篠原に刺されたが俺は新しい扉を開けてホクホクだった


「GW開けたら康君のラグビー見に行っても良い?」

「えー、桃ちゃん来てくれるんだったら嬉しいけどラグビー部は女子に飢えてる奴がいっぱいいるから気を付けてね」

「康君に守ってもらおっかなぁ」

「あはは、頑張るよ」


 最早ところ構わず二人の空間を展開している様子を無言で篠原と眺めている。

 当たり前のように二人が同じ座席に並んだので、敏則は篠原と並ぶこととなっている。なんで?

 今回の買い物中に呼び方が変わったようだし、距離感は最早付き合っている男女のそれである。


「チッ」


 篠原は苦々しい顔で二人を眺めては小林に分からないように小さく康太へ舌打ちしている。


「篠原、いい加減にしないとバレるぞ」

「うっさい、藤沢は黙ってて」

「さいで」


 かく言う俺も小林からさん付けはやめようとのことでさんをとっぱらっている。篠原も最初から俺にさんをつけていたわけでもないので特に不快感等は示さなかった。


「で、私たちはいつまでこれを見せられるんだと思う?」

「そうだなぁ、そろそろ良い時間だし帰りたいよなぁ」

「あんたあの2人止めてきてよ」

「嫌だよ、体ねじ切れそうだもん」

「あの2人のことなんだと思ってる?」

「バカップル目前デュオ」

「腹立たしい…そういえば話は変わるけどあんたは放課後担当いつやるの?」

「は?」

「は?じゃないでしょ…え、なに?本当に気づいてない?」

「何の話だ…?んん?」


 篠原はため息をついて首を振っている、接点のなかった奴にここまで呆れられる筋合いはないと思うのだが…


「あのねぇ、私は図書委員なの、意味わかる?」

「は?図書……委…員?」

「……」

「……………あぁ!」

「馬鹿なの?何なの?人に興味ないの?死ぬの?」

「いや、別に話してなかったし、あの時三枝にイライラしてて他の人を確認する余裕なかったんだよな」

「私、これでも容姿に自信が少しあるんだけど?」

「あ?あぁ、いやそれを否定する気は毛頭ないが、だからと言って興味のない人間覚えろって言われてもそいつは無理な話でさぁ」

「まぁ、それもそうか。覚えられててもキモイかったかもね」

「即死魔法が気軽にやってくる篠原の会話は」

 

 いや、本当に覚えていなかったのだから許して欲しい。しかしなるほど、最初に感じた引っ掛かりは図書委員で見かけていたからだったんだな

 少し拗ねているかのような篠原とは裏腹に敏則は悶々とした気持ちが晴れていくのを感じた。


「それで、俺らの担当時期だったか?GW明けすぐだな」

「あっそ、ただ少し気になっただけよ」

「そ、そうか」


 いかん、篠原が不機嫌モードになってしまった。どうにかしないととあたふたしているとこちらの様子に気づいたのか空間ハネムーンに行っていた康太と小林が帰って?きた


「なんかお前ら喧嘩してない?大丈夫?」

「ごめんね?私も少し回り見れてなくて…」

(…少し?)


 少しの定義って人によるもんな?と自分をだまし、ツッコミを押える。今敵対されたら篠原に勝てない……勝つってなんだ?

 

「と、とりあえずもう夜が遅いし解散としないか?」

「げっもうこんな時間!」

「そうだねー、帰ろうっか」

「ん」


 康太は明日もラグビー部の練習があるため短めの悲鳴を上げることとなったが他のメンバーは特に明日予定がないらしいのでまったりだ。

 会計後に駅でそれぞれの改札で別れていく、そして敏則の帰る電車に


「………」

「………」


 どうやら篠原も帰りの電車が同じらしい


「はぁ…あんたどこでおりんの?」

「西日暮里」

「うわぁ、そこまで被るか…」

「そっから乗り換えすんの?」

「千代田で馬込まで行くわ」

「それも方面同じだなぁ…俺は綾瀬」

「駅まで一緒じゃなくて良かったと思うことにするわ」

「そうだな、というか小林と一緒の方面じゃないんだな?」

「家族の事情に合わせて引っ越したのよ、一人暮らしも考えたけどまぁちょっとね」

「そうなのか、まぁ明日から電車で見かけてもスルーで頼む」

「はぁ?いやいいけどなんで?」

「いや、朝の通学って結構長いだろ?携帯いじくってるし、それがもうルーティンになってるから崩したくないんだよ」

「そうじゃなくてなんで私からあんたに話しかける必要があるのかって話」

「それはそうだな」

「勘弁してよね、あくまで今日は佐伯の人間性を見に来ただけなんだから」

「感想は?」

「人間性は特に問題なしだけど…」

「だけど…?」

「砂糖吐くかと思ったわ」

「それはわかる、近い未来にあの二人はくっつくんだろうな」

「そうなのかなぁ~~~はぁ、私の桃子が…」

「私のて」

「まぁいいの、桃子が幸せならそれで」

「そか、まぁ俺も康太が認められてて何よりだよ。」


 そんな話をしているうちに綾瀬まで到着していた。意外と話は止まることなく解散することとなった

 GWももう終わってしまう、そんな悲しい事実に涙を流しながら帰宅した敏則は軽くゲームをした後に残りの宿題を終わらせ、風呂に入ってからゆっくりと眠りについた。

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