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友達の恋路より自分の恋路  作者: 田中 一
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導入が1番わからん

不定期

 高校入学、それは中学生までのしがらみからある程度は解放され、次の自分へと新しい一歩を踏み出していくために必要な儀式。

 ある者は見た目を整え、ある者は次こそは失敗しないようにと過去の失敗を振り返り改めて気を引き締める。

 そんな中、始業式が終わって2週間が経過し、ある程度グループが固まりつつある中で教室で寝ている男が一人、ホームルーム前の予鈴でその目を開けようとしていた。

 平々凡々、特に何かに打ち込むでもなく帰宅部として、ダラダラと過ごしていることが至高であると考える俺は藤沢 敏則、黒髪黒目で身長は178cm、体重65kg、最近頑張っているのは格闘ゲームだ。


「ふあぁ、ねみー」

「お、お目覚めか?早速で悪いが今日の宿題見せてくんね?」

「康太さー、もう少し自分でやる意思持った方がいいぞー?」

「わりぃわりぃ、ラグビー部の練習が激しすぎて帰ると寝ちゃうんだよね」


 俺の席は教室の一番左で前から2番目、そしてこいつはその後ろにいる佐伯康太、茶髪に茶色い目、ラグビー部で身長は俺より少し高い。


「ん~、まぁラグビー部大変そうなのはわかるからな…ほいよ」

「助かるぜ!心の友よ!」

「まだ1ヶ月経ってないだろうが」

「まぁまぁそういいなさんな」


 調子のいいやつだとため息をこぼすが実際クラスの友達は康太くらいなもので、後の人たちは何となく名前を覚え始めているくらいである。

 なんやかんやと1日は進んでいき宿題が間に合った康太に感謝されつつ6限目となった。


「今日は委員会決めするんだっけ?敏則は何やる予定なん?」

「ん~簡単そうなやつかなぁ、調べものしたりもすることを考えると図書委員とかかなぁ」

「調べものって何調べんの?」

「格ゲーのフレームとか?」

「え?なにそれ?本関係ある?」

「はい、じゃあ委員会決めていきますよ~」


 するとピンク髪セミロング、恐らく身長160cmくらいの担任、小暮先生が全体の士気を取り始めた。恐らくクラス委員を決めて、そこから生徒主導で進めていくんだろう。


「まずはクラス委員会から決めていきますよー?やりたい人はいますかー!」

「「「……………」」」

(まぁ、そうなるよな)


 新学期が始まってまだ2週間、ここで手を挙げることで調子に乗ってると思われたくない女子は当然全体の顔色を伺っているのを感じる。男子は男子でそんな面倒くさいことはご免だと言わんばかりだ


「あ、ちなみに委員会全体としての活動はクラス委員が一番少ないですよ?駆り出されるのは授業中が多いですし」


 晴天の霹靂。クラス全員の顔が驚愕に染まる、それは敏則とて例外ではない。しかし、だ。小暮先生がこの言い方をしたことにより敏則のような帰宅部にはこの話題における人権が失われたに等しい、なぜなら


「はい!俺ラグビー部なんで極力放課後の時間削りたくないんすよ!なんでクラス委員やります!」

「いや!俺だってサッカー部で一生懸命やりたいんだ!俺もクラス委員に立候補するぞ!!」

「野球部の僕も混ぜて欲しいな…」


 など運動部の主に顧問が厳しいと広まっているところに所属している人たちで奪い合いが発生してしまった。(ちなみにラグビー部の主張はもちろん康太だ)

 こうなればもう運動部の独壇場、じゃんけんで決める他ない。そして、女子はその男子の行く末をゆったり見守っている。何故、この行く末を女子が見守る必要があるのか……それはどの男子がクラス委員になるかで立ち回りが変わるからだ。

 康太は身長が高く明るい上に現状優しい性格だし、頭が悪いところもかわいいと人気があるようだ、サッカー部の下田も金髪黒目で身長は敏則より少し低いくらい、かなり身なりを決めているタイプなので顔含め人気が高い。野球部の湯沢は康太より少し身長が高く、ピッチャーらしいので(今康太から聞いた)そのあたりを含めて評価が高いとのこと


(誰がクラス委員になるか決まる前に動いたら本命以外が来た時にがっくりな上にその人を狙っている人からやっかみが飛んでくることを考えればうかつに動けないわなぁ)


 そんなことを知ってか知らずかわからないが、じゃんけんが教壇の上でクラス中見守る中行われ


「っしゃあ!!!!」


 康太が勝ち取っていた。

 ニコニコしながら帰ってくる康太に顔に出やすすぎだろと思いつつ声をかける


「良かったな」

「おう!あいつらとは最初の話した時遊びで何回かじゃんけんしたんだよ!どっちもパーを最初に出してたからそれに賭けたんだよな!」

「…そういうところは頭回るんだな」

「あん?どういう意味ございやすかぁ?」

「な~んでも」

「あっそ」


 ヒヒヒと何故か悪い顔をして笑う康太を見ながら女子のじゃんけんを見つめる。ご満悦の康太は今目の前で行われている女子のじゃんけんなんか何も気にしてない様だった。


「それじゃあ、クラス委員になった佐伯さんと小林さんにこの後の進行をお任せしますね?」

「「はい」」


 康太の相方委員は小林桃子さんとなったようだ、白髪ショートの少し小さい子でスレンダーな体形だ

 

「それでは早速、各委員会を読み上げますのでやりたい委員で手を挙げてくださいね。まずは…」


 1つまた1つと委員が埋まっていき、6限目を少し超えたところで全ての委員会が割り振られた。ちなみに敏則は図書委員に決まっており、心底ほっとしている。


「はい、それでは今日は以上で解散とします。委員会は明日の6限目ですのでよろしくお願いしますね、ではさようなら」


 6限目及びHRが終わり、生徒たちはそれぞれ荷物を持って移動を始める。


「じゃあな、敏則」

「おう、またな」


 康太は当然ラグビー部に向かった、俺のような人間にはああいう部活は絶対に無理なので凄いなぁと見送った後に下駄箱へ向かう。


「うーん、今日は家でゲームするか」


 敏則が放課後にとる行動は主に2つ、家でゲームをするか、ゲーセンでゲームをするかだ。

 ソシャゲも多少はやっているが基本的にはPCで格闘ゲームを遊ぶことが多い。

 30分強の帰り道を電車でどんぶらこっこバスでゆらゆらと帰った敏則はマンションの3階まで昇ると制服も脱がずにPCを起動する。


「ん~、今日もランクマするか」


 敏則はゲームが凄く上手いというわけではないが、そこそこやりこんでいるため弱くはないくらいの強さであると自覚している。そのため調子には乗らないし、自己研鑽は最低限行っているのだ。3時間くらい勝ったり負けたりを繰り替えし頭を茹蛸にしたところで今日はここまでっと区切りをつけ夜ごはんの用意をする。

 敏則は一人暮らしのためご飯を用意してくれる人がいない。ここ2週間はずっとインスタントに頼りっぱなしである。


「飯食ったら宿題やって風呂入ってゲームして寝るか」


 やりたい放題かと思いきやしっかり勉強も予定に組み込んでいるのは褒められるべきところであろう。予習はしないが復習は行うっているので成績は落ちることはないだろう、ないだろうなぁ、ないといいなぁ。

 そんな敏則の日常は図書委員会に所属することで徐々に狂い始めるのだった。

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