14話
ゆっくりと、まるで羽毛が舞い落ちるように、光輝く人型の存在が地上へと舞い降りる。
光の存在は地面に足をつけると、辺り一帯を包んでいた神々しい光が徐々に収束していく。
???「ごめん…遅くなった」
麗焔には聞き覚えのある声だった。
その人物は晴翔だった。
麗焔「待ち合わせした覚えはないけどな」
晴翔「そうだったっけか?」
麗焔「何しに…こんなとこまでわざわざ来たんだ」
麗焔はボロボロになった身体をゆらゆらと揺れながらゆっくり立ち上がり晴翔の隣へと歩いて行く。
晴翔「正直まだ怖いしここに立っているだけで吐き気がする…けど麗焔のあんな姿を見たらジッとしてられなくて…」
「一つ決めたことがあるんだ…」
麗焔「何を?」
晴「夢にまでみたこのシチュエーション」
「初めは怖かったけど厨二病としてはやっぱ黙ってられなくて」
「世界一の厨二病になる事にした!!!」
麗焔「…は?」
豆鉄砲をくらったかのような表情を浮かべる麗焔。
麗焔「何を言い出すのかと思えば…」
「好きにしろ」
懶惰「随分と楽しそうに話してるじゃないか」
どこからともなく現れた懶惰。
だが、どこか様子が変わったような気がする。
あれだけ分身を殺しても本体の懶惰には傷一つ付いていなかったのに。
変わったこと、それは懶惰の右肩から血が垂れていたのだ。
懶惰「まさか傷が付くとは…」
麗焔「あれだけ攻撃してたのになんで今の攻撃で…傷がついたんだ…」
懶惰「ん?この傷が気になるのか?」
麗焔「はぁ…ある程度…検討はついてる…」
「お前みたいな逃げ腰丸出しは死に際の台詞でも考えときな」
懶惰「言ってくれるじゃないか」
「たまたま貫いたぐらいで歯茎を見せるんじゃないよ!!」
麗焔「初めから歯茎を見せて足元掬われたのはお前の方だけどな」
「それと、言葉使いがさっきと変わったようだが焦ってるのか?」
晴翔「お、おい!」
「俺には何がなんだか分からないんだが!!」
懶惰「人間風情がーーーーーー!!!!!」
懶惰の怒号と同時に、その身体が蜃気楼のように揺らめき始め、再び一つだった影が二つ、三つ、そして十の姿へと分裂していく。
十体の懶惰が麗焔と晴翔を円陣で取り囲む。それぞれの手には暗黒の鎌が形成され、殺気に満ちた眼光が二人を射貫いていた。空気が張り詰め、戦場に死の匂いが立ち込める。
晴翔「ぶ…分身...!」
息を呑んだ晴翔に麗焔が
麗焔「もう見抜いた」
晴翔「えぇ!!」
「何を!!」
麗焔『恐らく分身は最大9体、本体含め全10体。
それがあいつの限界値。
初め攻撃してもダメージがなかったのは単純に本体は隠れて分身としか戦っていたから。
そして本体は一定上の距離から離れられない。
それも数が増えればその距離は更に制限される。
あの時すぐに分身を出せたのは少数だったから連続して使えた。
だが、10体になった後の分身には必ずクールタイムが必要となる。
だから、晴翔の上空からの攻撃で肩を貫かた
更なる欠点は、分身とは意思疎通もできなければ殺気、気配も感じとれない。
肩を貫いたのは咄嗟に気配を感じ避けられたから。
だとすればアレを使うしか…』
麗焔「晴翔、耳を貸せ」
晴翔「なんだよ?」
麗焔が晴翔の耳元に駆け寄る。
熱い息が耳朶を撫でると同時に、麗焔の瞳に決意の炎が宿る。
晴翔「…!」
晴翔は無言で頷くと、麗焔が後方に下がるのを確認した。
その時—
ザシュッ!
ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
文章構成力不足でうまく読み取れない部分があるかと思いますが、暖かく見守って頂けますと幸いです。
ゆっくり投稿していきますので気長にお待ちください。




