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追放された仲間を見送る話

作者: ににしば

仲間視点なお話です。

テンプレ風。

仲間が追放された。

パーティーは5人、謎の人数制限がかかるダンジョンでリーダーが指名したのは、あまりなじみのない仲間だった。しかし、未熟ではあるが一生懸命な、駆け出しのヒーラーだった。

「おまえ、後方支援というより、もはやただのモブだろ。もう下がってろ、永遠に」

ほかの仲間はみな熟練の戦士たちで、駆け出しヒーラーの治癒魔法くらいではあまり意味がなかった。

「けど、それは言い過ぎだ。」

「おれが決めたんだ、おれがリーダー。それとも、お前が残るか?」

「それは……」

おれは自分の兜を渡そうとした。別れの前にせめてもの餞別のつもりだった。しかし途中で考えなおした。

「近くの街まで帰れるか?……いや、やはりひとりは危ないな。すこしあいつに待ってもらうか」

「いいんです、わたし、ここで待ってますから」

「街に戻ったほうがいい。もうひとりくらいぬけても大丈夫だろう、あいつらなら」

おれたちは街まで二人で戻った。リーダーはあっけにとられていたが、「勝手にしろ、すこしだけ待つ」と背を向けて言った。


しばらくすると、背後から二人の仲間の声。

戦士と騎士の二人も追ってきてくれた。助かる。

「あいつより、こっちのほうが心配だからな」

「あいつなら大丈夫。リーダーだからな」

パーティーは追放された彼女を守る戦士たちと新たに4人で完成した。

リーダーはひとり、あの特殊なダンジョンの前で待っているのか。あそこはヒーラーをひとり置くには厳しい環境だったが。

「リーダーは大丈夫かな」

「お前、いまはあんなやつほっとけよ」

「でも、ちょっとあいつは器用貧乏だから……囲まれたら危険だ」

「やっぱりわたしのことは気にしないでください……」

「いいから。ヒーラーを送ってからだ」

おれたちは街についた。またいい仲間を探せるよう、祈りながら別れた。

大の男が三人もいるのに、若い少女ひとりを置いていく絵面はあまりいい気がしない。

身長ほどの杖を支えにして、ヒーラーは街の外れまで見送ってくれた。

「できたら、迎えにいってやりたいな」

「あのダンジョンは一方通行だ。あいつは先を急ぐだろう。抜けるなら今だぞ」

「でも、魔王討伐の旅だし……世界が……」


例のダンジョンの入口はやはり過酷だった。なにせ、もう一つのダンジョンと連続していて、休憩地点などは皆無。じっとしていればモンスターに出くわすことは少ないが、運悪くもリーダーは囲まれていた。

「遅いぞ、おまえら!」

「すまない!」

リーダーは半泣きで自分に防護魔法や回避魔法、回復魔法をかけまくりながら耐えていた。おれたちはいそいで援護に回る。彼とてリーダーなのだ。王から期待されし有望な戦士。ヒーラーをのぞけば唯一の魔法使いでもある。彼を失えば、きっと魔王は誰にも倒せない……


「どけどけー!勇者さまのお通りだ!」

そこへ、変わった魔法で突進してくる何者かが現れた。

汚い空気を出すうるさい鉄の馬を駆りながら、そのものは通り過ぎて行った。

数体のモンスターが致命傷を負い、それを倒すのは簡単だった。かなり旅も終盤のダンジョンなのに。

「あいつは……!」

「まさか、序盤でうちのリーダーに負けた、初心者冒険者か?」

「そうかも!」

おれたちはダンジョンの向こうを見た。汚い空気の向こうに、まだ特大のハチのような爆音が鳴り響いている。赤い目のような光が灯り、遠くで音は止む。

「大丈夫か、ヒーラー!」

「え?」

「そういえば、さっきあの長い金色の髪を見たぞ、あの杖も!」

「たしか、さっきの男も、おれがあげた兜かぶってた!」

おれがリーダーにかつてもらった兜は、リーダーが盗賊時代に勇者が攻略するはずの塔から盗んだ歴史ある一点物のはずだ。あの赤と紫の房が長く風にたなびくさまは、まちがいないだろう。

「じゃあ、あの男、勇者装備を……」

「取り返されたってのか、あの失格勇者に!」

リーダーは言った。かつて、勇者装備を各地からあらかじめ奪って勇者の前に立ちはだかり、勇者を倒したうちのリーダー。しかし、重くて長くは装備できないと色々分けてくれた勇者装備は、みな路銀にしろとヒーラーにあげてしまった。おれたちが。

「おれのあげた鎧と剣も、あいつに渡ったようだな」

「盾も、お守りもな」

「ち、なんのために俺の3倍はある巨漢ばかり雇ったと思ってるんだ、おまえら全員クビ!帰れ帰れ!」

リーダーは細いレイピアを振り回して言った。

「いいけど、またモンスターの群れが」

「じゃあ、送れ!次の街で解散だ!」

やがて、おれたちのチームは解散した。おれたちは故郷にそれぞれ帰ったが、リーダーはひとりで旅終盤の街に残された。ドラゴンのオーブがないと例のダンジョンは一方通行だから、彼はまだあの街にいるだろう。(それもヒーラーにお土産としてあげていたが、おれたちは素手で岩山を登れるため問題なかった)


そして、世界を救った勇者は王となり、妃を娶って帰郷した。その妃はあのヒーラーだった。金髪の美少女は美しい王妃となり、民たちに永く愛された。

ちなみに勇者は「転生者」?らしく、よくわからない魔法を使っては、世の中をいつまでも騒がせていた。

読んでいただきありがとうございました。

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