4. ルークの答え
「頼む! 俺たちのギルドに加入してくれ!」
「は、はぁ?」
ルークが何よりも待ち望んでいた言葉。
それが、まさかこの男たちから出てくるとは。
自分を入れてくれるギルドならどこでも加入しようとしていたルークだったが、この男たちが相手なら流石に踏みとどまってしまう。
詐欺か? それともルークみたいな雑用係が欲しいのか?
どちらにせよロクなことにはならなさそうだ。
ルークの中の心象は既に最悪だった。
「どうして急にそんなこと言い出すんだ?」
「お、お前知らないのか? 今、魔界で何が起こってるのか……」
「魔界?」
魔界という単語。
一応それが何かは知っているが、イマイチピンとこない。
自分たちが住んでいるのは人間界。
人間以外の種族が生息するのが魔界だ。
この男たちが言うには、その魔界が大変なことになっているらしい。
しかし、それがルークと何の関係があるのか。
まだまだ話が不鮮明なままである。
「どうして俺を仲間にする必要があるんだ。魔界と何か関係があるのか?」
「関係があるも何も……本当に知らないのか?」
「聞いたことないな」
「今、スライムが魔界を支配してるんだぞ!」
「……へ?」
男たちが言ったのは、ルークを困惑させるには十分すぎる情報。
スライム。
確かに男たちはそう言った。
スライムというのは、魔物の中でも最低レベルの雑魚である。
冒険者でない普通の市民でも、武器を持てば余裕で勝利することができる。
そんな雑魚モンスターが魔界を支配している?
にわかに信じることはできない。
「ちょっと待ってくれ。スライムが魔界を支配ってどういうことだ?」
「スライムが突然変異したんだよ! それだけじゃない――大量発生までしてる!」
「突然変異って、どれだけ強くなってるんだ?」
「……魔王を倒したらしい」
「嘘だろ!?」
今日初めて、ルークは驚きで声を荒げた。
魔王を倒した? スライムが?
どういう突然変異をしたら、そこまで強くなれるというのか。
……いや、それはこの際どうでもいい。
何となくルークにも話が見えてきた気がする。
「だから、スライムに勝てるお前の力が必要なんだ!」
「なるほどな……」
「今は進化したスライムに勝てる冒険者がいなくて混乱してる! このタイミングで狩りまくれば、あっという間に有名人になるぞ!」
男たちは必死にルークの気を引こうと話を続ける。
ルークに考えさせる隙も与えない。
この男たちに必死さを見て、ルークもようやく事態の深刻さに気が付いた。
それほどまでにスライムは強く、勝てる冒険者がいないということ。
魔王を倒したというのも本当のようだ。
「もう分かった。今何が起こってるのか理解したよ」
「そ、そうか! それなら俺たちと仲間に――」
この状況で、男たちに対するルークの答えは一つ。
迷うことはない。
考えるよりも先にこの言葉が出ていた。
「お断りだ。お前らと仲間なんて絶対にな」
【応援してくれる皆様にお願い】
ここまでお読みいただきありがとうございます!
現在ランキング26位!
ここからどんどん順位を上げていけたらと思っています!
ランキングは団子状態になっており、20位までのポイント差は約70ポイントです!
たった『7人』の方が★で応援してくだされば、その差は埋まることになります!
どうか最初の『1人』になっていただけないでしょうか!!
少しでも面白いと思ったら、
下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けると本当にありがたいです。
数秒で評価は済みます!どうかお力を貸してください!
皆様の応援が作者の原動力になります!
何卒よろしくお願いします!