反省している時に派手な飲み物は絶対に頼むな
貸したお金を返してくれない友達と、東京Dズニーランドで遊んできた。
「いや、借金踏み倒した奴と、遊びに行くなよ! しかも二人きりで!」という声、(多分、自意識とかいう声)が、耳元で喚いている。正しいことを言っている、と思う。でも、その友達が傍にいてくれたおかげで乗り越えられた夜も、確実にあったのだし、その友達がいたから、様々な出会いと別れを経験して、今の自分があるのだと思うから、(勿論、全てとは言わないが、確実にその形成の一端を担っているのだと思うから)お金を返してくれない、その一点で縁を切るには抵抗があった。
まあ、友達の言を信じるならば、「お金を返してくれない」というよりは、「返したくても返せない」が、正確みたいなんだけどね。消費者金融と身内からの借金の板挟みなんだって。自分の想像が及ぶ範囲でしか、俺はあいつの心情に寄り添えないけれど、それでも多分、相当辛いこと、いや、メチャクチャ辛いことは、あると思う。「あると思う」って、凄く無責任で、投げやりな言い方だね。実際、俺に責任はないから、いいんだけどさ。あー、それにしても、朝早くに合流した喫茶店で、「まずは、借金の件含め、お互いの近況報告しなければ、Dズニーで遊ぶテンションにはなれないだろう!」ということで、俺は珈琲を、席に座って頼んだら、あいつが沈痛な表情で、(勿論、負い目があるからね)重々しい口調で、メロン味のクリームソーダを頼んだのには、笑ったね。ソフトクリームみたいに、大きなホイップクリームがぶりゅぶりゅ乗ってるやつ。なに、借金踏み倒してる友達の前で、甘い砂糖を摂取しようとしてるんだよ、そういうところだよ、って指摘したら、あいつ、出っ歯突き出して、ニヤニヤしてた。そんなに目立つわけじゃないんだけど、出っ歯、本人が気にしてることだから、ここに書いてやった。それくらい許してよ。まあ、そういうところも、好きだよ。
人誑しだなー、と思う、あいつは。自分でも気付いているみたいで、消費者金融と身内の借金の板挟みにあっている状況でも、それでも、手を差し伸べてくれる人が多い、って嬉しそうに話してて、その理由を、「いつもニヤニヤしているからかな」って、やっぱりニヤニヤしながら言ってた。クソ野郎。甘ったれ鼻くそ虫。で、彼女が出来た、って言って、写真を見せてくれた。可愛かったなあ。心配。
Dズニーランドは、楽しかった。絶叫アトラクションで叫びすぎて、翌日、喉と首が筋肉痛になった。金は、返してもらっていない。多分、貸した金額は三万くらいなんだけど、一緒にいる間ずっと「なるべく早めに返す。絶対、五万返す。五万」って、金額間違えてたから、その内、二万得することになりそう。狡いのはお互い様ってことだね。ちなみに、あいつも俺も、人狼ゲームが、そこそこ強い。やだー。