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人界
草木の揺れる音がする。閉じたままの瞼から、眩しい日差しを感じ取れた。
「ふむ。無事とは言い難いが、星に到着できたようだな」
手を日除けに使いながら、俺は草原を見渡した。
俺から一メートル以内の場所。そこは、隕石の落下地点のように、無残な姿になっている。
「これは……俺の専門外だな」
壊すことが得意な俺だが、直すことについては自信がない。せめてこの場所の写真があれば、修理ぐらいできたが。
「もう少し、終祖に教わっておけば良かったのか?」
光のない目を持つ男を、思い出しながら。俺は首を横にふった。終祖は完全に壊す専門である。俺の方がまだ、修理については得意だ。
「天界と違って、力があまり出ない」
俺はものは試しにと、目をつむり草原の修理を試みたが。結果は目を閉じる前と同じだった。いつもなら、目を開けた時には修理が終わっているのだが。
天界と人界では、力の出せ具合が違う。その確認ができたと思えば、まあ安い物だ。