始まり
宇宙の片隅で、俺という存在は漂っている。
どこまでも美しく広がる星空に、最初のうちは感動していたと思うが、あまりにも同じ光景。
「さすがに飽きてしまったな」
独白。俺のため息は宙に消える。たまには、俺以外がいる空間に行くのも良いだろう。
絡まれることはうっとしいが、あまり一人でいると、人間の言葉を忘れてしまいそうだ。
「仕方がない。動くのは面倒だが、たまには刺激が必要だ」
無重力の中で、形だけでも起き上がる。
「行き先はどこでも良いか……」
俺は自身の手をあげると、一文字を書くように、下へふった。星が砂鉄のように俺の手の軌道によるが、気にすることなく続ける。
「イメージの問題だ。難しいことではない。俺にとって良いことがある場所はどこだろうか?」
感覚を頼りに星を物色する。
「ああ、この星は綺麗だな……」
美しい青をまとった星を見つけた。
少しの苦労なら、この星の風景で誤魔化されてしましそうなほど、多様な景色を見れるようだ。
「この星がいいな」
俺が起きたり眠ったりしているうちに、奇跡的に出来上がった星のようだ。俺の知らない未知ばかりで、飽きることがないだろう。行き先は決めた、後はこの空間を抜け出すだけだ。