表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ連載中!】追放勇者の優雅な生活 (スローライフ) ~自由になったら俺だけの最愛天使も手に入った! ~【書籍化!】  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第一章 元勇者生存編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/166

14.家の相談


 朝の王都に爽やかな朝日が降る。

 勇者マリウスは高級宿のバルコニーで食後のお茶を飲んでいた。

 昨日のやつれ加減はすっかり消え、サラサラの金髪はきれいになっている。


 そこへ杖を持った僧侶の女性がやってくる。


「マリウス様。今日こそはワイバーンを退治しましょう」


「わかっているさ」


 白い歯を見せて爽やかに笑う。



 女僧侶は眉をひそめつつ咎めるように言う。

「失敗したのに余裕ですね? 王様が怒っていましたよ?」


「何を言っているんだい。昨日のは失敗じゃないさ」


「え?」


「下見に行っただけだよ。だから準備不足だった。今日こそワイバーンを仕留めるから」


「はぁ……そうですか」

 女僧侶は言葉では従ったものの、疑うようなジト目は変わらなかった。



 マリウスはお茶を飲み干すと、長い足でしなやかに立ち上がった。

 赤い目を細めて笑いかける。


「雑魚敵を相手にしなければいいんだ。――まずは教会で魔除けの聖水を購入しよう」


「ええ、わかりました」

 女僧侶は青い髪を揺らして頷く。


 そしてマリウスは女僧侶を連れて部屋を出て行った。


       ◇  ◇  ◇


 王都の朝。

 安宿でリリシアと深く愛し合った俺は、小鳥の声とともに目を覚ました。

 狭いベッドの隣では、裸のリリシアがシーツだけをまとって寝ている。


 朝日を浴びて輝く白い肌と乱れた銀髪が、愛おしいぐらいに美しい。

 横向きに寝た背中からは、一対の白い翼も神々しく光っている。


 ――これが俺の天使だなんて、やはり信じられないな。


 そっと手を伸ばして、彼女の持つ天上の曲線を確かめる。

 しっとりとした肌触りが指先に伝わる。

 白い翼はふさふさで、どこまでも柔らかくて気持ちいい。



 すると、リリシアが「んぅっ」と可愛くうめいて目を開けた。

 大きなすみれ色の瞳が俺を見上げる。


「あぅ……おはようございます、ご主人様マスター


「おはよう。俺の可愛いリリシア」


 挨拶をしながら彼女の頬にキスをした。

 それだけで、白くなだらかな頬が赤く染まっていく。


「ひゃっ……ご主人さまぁ……ダメです……朝、です……」


「もう誘ってるだろ、それ」


「ち、違いま――んぅっ!」

 リリシアの赤い唇を塞いで、折れそうなほどに華奢な肢体を抱きしめた。


 一方の彼女は、恥ずかしがる仕草をしながらも、細い指が大胆に攻めてくる。


 朝の輝く光の中で、天使のような白翼の彼女を愛した。


       ◇  ◇  ◇


 王都の朝。

 俺とリリシアは軽食屋で朝食を取っていた。二人で200ゴート。

 安宿では食事が出ないので。


 狭い店内。

 テーブルに向かい合って座っていたが、リリシアは顔を真っ赤にして炒り卵を突いている。


「なんですのっ! ――昨晩はお楽しみでしたね、って! なんですのっ! ――えい、えいっ!」


 朝、宿を出る時に宿屋の主人がニヤニヤしながら言った言葉。


 ――昨夜もたくさん愛し合ったが、その時の声が聞こえていたらしい。

 彼女は必死に可愛い声を抑えていたが、無駄だったようだ。



 俺はハムを挟んだパンを食べつつ言う。

「これは、家を借りるかどうかした方がいいかもしれないな」


「そ、そうです! それが一番ですわっ!」


「遠慮なく愛し合えるもんな」


「うぅ……わたくしのご主人様マスターは、いじわるです……っ」


 卵をもひもひと食べつつ、すみれ色の瞳で上目遣いで見てくる。銀髪が儚げに揺れていた。


 可愛いったらありゃしない。

 神々しいまでに美しくて、いじらしいまでに可愛い。

 それでいて俺に尽くしてくれるんだから最高だ。

 

 ――こんな彼女のためには、やはり最高の衣食住を揃えてやらないとな。

 いつまでも安宿に泊まっていてはダメだ。


 しかし、いくらかかるのか。

 常識のない俺は相場を知らない。

 


 そこでリリシアに聞いてみた。

「家を買ったり借りたりするのって、いくらかかるんだ?」


「そうですねぇ……住む場所は王都ですか?」


「そうか。その辺から決めないといけないのか」


「王都ですと、一部屋借りるのに7万ゴートからでしょうか。買うとなると中古の一部屋で1500万、新築なら3500万ぐらいでしょうか。一軒家だと億はすると思います。あと税金もかかりますね」


「高い……無理だな。地方の街だと安くなるのか?」


「当然です。借りると一部屋2万ぐらい、大きな一軒家でも10万ゴートかからないかと。一軒家を買っても街の中で2000万、郊外だと300万ゴートでしょう。魔物の危険がありますが」


「なるほど……うーん。買うとなると一生ものだし、場所はよく考えないとダメそうだな……今の俺には、正直どこがいいとか判断つかない」


「わたくしも、冒険者として暮らせる場所はちょっと判断がつきません」


「家を買うのは、冒険者の生活に慣れてからだな。まずは部屋を借りよう」


「はい、それがいいと思います」



 俺はお茶を飲みながら言う。

「よし。ヘルリッチのダンジョンに潜ったあとは、部屋を探すか」


「え――っ。ほんとですか、ご主人様マスター!?」


「ああ、リリシアを大切にしたいからな。それに、よく考えたら危険だ。安宿だと正体がバレるかもしれない。――あと、リリシアの可愛い声を他人に聴かれるなんて許せないな」


「ますたぁ……っ」

 リリシアが嬉しそうに目を細める。俺を見るすみれ色の瞳は潤んでいた。


 その後、朝食を食べ終えてると冒険者ギルドに向かった。



 所持金残り。大金貨32枚、金貨14枚、大銀貨14枚、銀貨8枚。

 335万4800ゴート。


ブクマと☆評価の応援ありがとうございます!

ランキングがさらに上がって日間総合118位、ジャンル別30位!

400Ptも入ってる……嬉しいです、更新頑張ります!


この作品が面白いと思ったら、↓の星を入れてもらえると喜びます!


次話更新は午後ぐらいに。

→15.ヘルリッチ再湧き?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヤングガンガンコミックスより10月24日に3巻発売!
美しくてエロ可愛いリリシアをぜひマンガで!

追放勇者の優雅な生活(スローライフ)3

追放勇者の漫画化報告はこちら!




小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] ヘルリッチ討伐報酬安すぎ無いですか? 家の相場から物価は日本並のようですが、並の冒険者が命を掛けたボス討伐で100万円行かないのは割に合わなすぎる。5人パーティなら一人当たり20万ですし。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ