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【コミカライズ連載中!】追放勇者の優雅な生活 (スローライフ) ~自由になったら俺だけの最愛天使も手に入った! ~【書籍化!】  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第四章 聖竜の宝珠編

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131.宴の後で

あとがきにお知らせがあります!


 俺はラーナを成長させて店員をしてもらうため、宝珠を集めていた。

 ついでに、ドワーフ公に家出した娘を捜すよう頼まれた。成功すれば、リリシアの奴隷解放に口添えしてもらえる約束だった。



 森の朝。

 俺がベッドで目を覚ますとリリシアの白翼が二人を包んでいた。

 すやすやと心地良さそうな寝息をたてている。息をするたびに、大きな胸が柔らかく揺れていた。


 シーツを掛けてやろうとすると、リリシアが目を開ける。

 スミレ色の瞳をぼーっとさせつつ顔を上げた。


「はう……おはようございます、ご主人様ますたぁ


「おはよう。気分はどうだ?」


「うーん、なんだか頭が重いです……」


「二日酔いか?」


「かもしれません――治癒レストヒール


 リリシアは頭に手を当てて魔法を唱えた。

 すぐに銀髪を揺らして笑顔になる。


「治りました、ご主人様マスターっ」


「よかった。じゃあ今日は宝珠を探しに行くか」


「はいっ」



 朝食を取ろうと食堂へ行く。

 エルフ少女テティや僧侶ソフィシアの姿が見えない。


「まだ起きてないのか」


「珍しいですね」


「あ、そうか。お土産渡したから、あいつらも酔っぱらったのかも」


「見てきますね」


 リリシアが食堂を出て行った。

 すぐに悲鳴が聞こえた。


「どうしたリリシア!?」


 俺は驚いてダンジョンへと急いだ。通路を駆け抜ける。

 すると広間でソフィシアが全裸で倒れていた。幼いラーナも大の字になって倒れている。


「えっ!? なにがあった! 息は?」


 ソフィシアの側にしゃがんだリリシアが顔を上げる。


「ご主人様、息も脈も正常です!」


「ということは?」


「寝てるだけだと思われます――全裸で」


「寝てるだけか、それはよかった――全裸だけど。ラーナもか?」


「そうみたいです」


「風邪を引いてなきゃいいけどな……とりあえず、ソフィシアに服を着せてやってくれ。俺はラーナを部屋に運んでおく」


「はい、ご主人様」



 広間にはテーブルが出ていて食べかけの食事が残っている。

 宴会でもしたようだ。


 ラーナを横抱きにして抱え上げると、長い白髪がさらりと垂れた。

 体は細くて軽い。幼い口元は笑みで緩み、よだれを垂らして寝ていた。

 いつまで起きていたのか。


 奥の広間に入った。壁際に扉が四つある。

 中央には球体のコウが鎮座していた。


「おはよう、コウ」


「おはよーです、ますたー」


「ラーナの部屋はどこだった?」


「扉開けるです~」


 がちゃっと音がして扉の一つが開いた。

 中へ入るとそこそこ広い部屋だった。ベッドのほかにテーブルや棚がある。

 ――あとで表札を各部屋につけるか。

 そんなことを考えつつラーナをベッドに寝かせると、広間に戻った。



 すると、隣の扉が開いてテティが出てきた。

 眠そうに大きな口を開けてあくびする。長いエルフ耳がピコピコと揺れていた。


「んあ。アレクさま、おはよー」


「おはよう。昨日は遅くまで宴会したみたいだな?」


「あの二人だけねー。あたしはさっさと寝たけど。酔っぱらって大変だったんだから」


「そうなのか?」


「酒は飲んでも飲まれるな~だね、ほんとに」


 テティが華奢な肩をすくめて言った。金髪がふわりと揺れる。

 その言葉を受けて、コウが白い球体の表面を青く光らせながら新事実を伝えてきた。



「エールに精神が混乱する仕組みが入ってるです? 薬でも魔法でもなさそうな」


「ダンジョン産のお酒らしいってね」


 テティが口を添えた。


「そうだったのか……ということは、ドワーフ公爵はダンジョンを持っているのか?」


 確か、ダンジョンの中のように土や砂の純度が高いと言っていた。

 コウがぴかぴか光って否定する。


「でもドワーフのあの辺りにはダンジョンおらぬです?」


「それもそうか」


「――時間をもう少しもらえれば、もっと探してみるですが……」


「だったら、次の玉の位置とドワーフ公爵令嬢をリリシアに探してもらうついでに、そっちも探ってもらおう」


「らじゃーですっ」


 コウが元気に返事した。

 テティは先に朝食を食べるため、広間を出ていった。



 その後、リリシアを呼んだ。

 コウの傍、広間の床の上に世界地図を広げると、翼を出した天使状態でフレイルを垂らして呪文を唱える。

 玉の位置、そしてドワーフ公爵令嬢を探してもらう。


 翼を広げつつ、フレイルを世界地図の上にたらす。


「――闇魔力探知オーラディティクト


 フレイルで地図の上をなぞっていくと、鎖の先に付いたおもりがあるところで揺れた。

 リリシアが驚きの声を上げる。


「あっ! ルクティア教皇国と、海の中の一つは場所が変わりませんが、もう一つ海の中だった宝珠が別の場所に移動しています!」


「んん? ――まさか、魔物か何かが飲み込んでるんじゃないだろうな……」


「かもしれません」


「面倒だな……よし、後回しにしよう。移動してない玉を探そう。あと娘のヒルダは?」


「王都の北、河口にある港町ノースプトンにいます」


「ああ、あの町か。何度か行ったことがあるな」


 王都沿いにある大河を下っていけばノースプトンへ行けるのだった。

 勇者をやっていた頃、遠方へ向かうときに何度か利用した。



 俺はリリシアを見た。


「ドワーフ公爵領にダンジョンはあるか?」


「なさそうです」


「んん? リリシアの探知でも見つからないってことは、存在しないってことか」


「ひょっとしたらすでに倒されてしまったのかもしれません」


「なるほど……じゃあ、朝食を食べたらノースプトンへ行って娘に会って、それからルクティア教皇国へ行こう」


「はい、ご主人様」


「コウもそれでいいか?」


「はーいです。ただノースプトンにはダンジョン入り口を繋げられるですが、ルクティアはちょっと難しいです?」


「どうしてだ?」


「海の向こうですゆえ。しかもルクティア近くに大きなダンジョンあるです?」


「またダンジョンか。――なんかこの世界、ダンジョン多くないか?」


「世界戦3連勝で、世界が裕福です?」


「なんだかよくわからないが、ダンジョンが多いと世界も豊かになるんだな」


「そういう設定ですゆえ」


 コウの白い球体が嬉しそうに、ぴかぴか光った。

 ――よくわからないが、そういうことらしい。

 俺は頷いて言った。


「じゃあ、朝食食ったらノースプトンまで頼む」


「あいあいさー」



 俺はリリシアを連れて屋敷に戻った。

 テティはすでに朝食の挟みパンを食べ終えて、店で開店準備をしていた。



 食堂で軽い朝食を取る。

 パンとスープとソーセージ。リンゴも食べる。

 しかし、半分も食べないうちに突然、壁や天井が赤く光った。

 コウの声が響きわたる。


『わーにん! わーわーにん! 敵が攻めてきたです!』


 俺はテーブルから立ち上がりつつ子機を手に取る。


「どうした、コウ!? ダンジョンか?」


『ちゃうです! 超強い魔物さんですっ! 店に来たです! いや、そんな! あの姿は何ですっ!? 店に! 店に!』


「なんだって!? ――あっ! テティが危ない!」


 テティはすでに店員として店に出ていた。

 俺は壁に立てかけた剣まで走って手に取ると、急いで食堂を出た。

いつも応援ありがとうございます!

タイトル変わりました、あと割烹にお知らせとラフ絵載せました。

よかったら見てください!


次話は近日更新。

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追放勇者の優雅な生活(スローライフ)3

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