#9 勤勉
次回から小学校編へとなります┏●
お楽しみ下さい┏●
レイは母に揺られて目を覚ます。
今日は1日中、母と諜報の勉強だ。
「それじゃレイ、朝ごはんが終わったらママとお勉強しましょうね?」
「うん!早く食べるから待っててね!」
朝食を終え、2階にある母の部屋に連れられた。
「ママのお部屋に変わった所はあるかしら?」
母はレイに藪から棒に聞いた。
レイは幾度も母の部屋に入った事がある。
変わった所など微塵も感じなかった。
「普通だと思うけど・・・ママのお部屋、変なの?」
「まず部屋に入った瞬間に、変な所が無いか疑うのが潜入の基本なのよ。これから覚えていくのよ?」
「うん!でも、ホントに変な所なんて無いよ?」
母の優しい言葉にレイは疑問をぶつける。
レイの頭を1撫ですると、母は少し大きめのラックを剥いで床をレイに見せた。
床には四角に切込みがあり、上の方に取っ手の穴が空いていた。
「何これ?こんなのが敷物の下にあるなんて分からないよ!」
「ヒーローは甘くないのね〜。ちゃんとお勉強しなきゃね?」
床を開けると、ナイフ等の刃物がズラリと入っていた。
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夕方、夕食を作る為母の授業が終わった。
レイは疲れが無く、まだまだ学び足りないと言った雰囲気だった。
リビングの隣にあるソファーに座ってテレビを眺めていると、地下室から姉が出てきた。
「ママとの勉強は終わったの?」
「夕飯作るからお終いだって・・・姉ちゃんはどうしたの?」
「レイの事が気になってね。レイ、アタシが教えてあげよっか?」
「ホント!?パパに姉ちゃんはパソコンとかで諜報するって聞いたから、教えて欲しかったんだ〜!」
「決まりね。それじゃレイおいで。」
姉に手を引かれて地下の姉の部屋に行くと、
「ママにも言われたと思うけど、何か変な所ある?」
「えっとね・・・」
レイは姉の部屋を見渡し、目を凝らした。
至って普通の女の子らしい部屋だ。
ピンクの壁紙に白の絨毯。
勉強机があり、少し離れた所にイスが1脚。
「姉ちゃん、何であそこにイスがあるの?机の所にもあるのに。」
「正解よ。待っててね。」
姉は部屋の隅にあるイスを持ち上げた。
すると、椅子に面していた壁が凹み隠し部屋が現れた。
「ここがアタシの仕事部屋よ。どうレイ?カッコイイでしょ〜」
「ズルいよ姉ちゃん!僕はヒーローになるんだから、こんなの欲しいぃ〜!」
実は朝方までかけて、改造した部屋だとは言えない・・・
レイにハッキング等のやり方を教えていると、母が呼びに来て、夕食の時間になった。
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「明日は学校ね〜。緊張してる?」
「ううん。楽しい所だって分かってるから。お仕事はちょっぴり怖いかな・・・」
レイは寝室で母に聞かれて正直に答えた。
怖いなら辞めればいい。
こんな事を言われたら、レイは泣くだろう。
ヒーローの第1歩を止められるのは、誰だって嫌だ。
「大丈夫よ。ママとお姉ちゃんが教えた事を覚えているなら、きっと成功するわ。」
母はそう言って、レイを寝かし付けた。
明日は初仕事、初登校。
胸の高鳴りを抑えつつ、レイは眠りについた・・・
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