#3 フメリ一族
いつの間にか1週間経っていました┏●
お楽しみ下さい┏●
父は真剣な目をレイに向ける。
だが、レイは言葉を発する事が出来なかった。
そうこうしていると、兄が仕事を終えて帰ってきた。
姉も地下室から出てきた。
父は2人をイスに促し、レイの方を向いた。
すると、母が手をパン!と叩いて
「あなた?それくらいにして朝食の片付けをしてもいいかしら?」
母が固い言葉を使う時は半分怒っている時だ。
闇の住人であるフメリ一族の当主も、女房には逆らえないらしい。
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朝食の片付けが終わる母を待って、父が再度レイに口を開いた。
「レイ。我々、家族が大きな屋敷に住めているか、気にした事はあるか?」
「ん〜とね、パパのお仕事のおかげ?」
「私だけでは無いが・・・まず一族の話をしようか。」
レイは首を傾げながら父を見ている。
無理もない、今日6歳になる息子には分かるはずも無い。
「いいか?我々フメリ一族は遡る事、300年前。世間では世界大戦が起こっていた。」
「色んな人達が、ケンカしてたって事よ。」
母がレイに補足をくれる。
「世界大戦の終盤。ある男達が刀を持って現れた。男達の力は絶大で、兵士達は敵にならず戦争を終わらせた英雄として扱われた。
英雄の1人は名前を持っておらず、王の褒美に自らの名を願った。
その男こそ、我等が祖先アルヘル・フメリ。
それからアルヘルは力を誇示し、王の命で数々の殺人を犯した。
王の命は代々のフメリに受け継がれ、今も遂行している。」
父は母に注がれた紅茶を1口飲み、レイの反応を見ている。
対するレイは、ちんぷんかんぷん、と言いたげな表情で母を見た。
「ママ達のご先祖さまは、強くて王様に頼み事をされているの。この頼み事がパパとママ達のお仕事なのよ。」
「スゴイ!じゃあ、僕も王様に頼み事をされているの?」
「頭の回転が早くなったな。鬼化羅擦のおかげだな。」
「何それパパ?」
レイ、兄、姉は同時に聞く。
「それはのぉ。レイを主人と認めた妖刀じゃ。」
祖父がリビングから扉1枚隔てた寝室から出てきた。
「お爺様が言った通りだ。サラ、ここへ。」
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サラとは、レイの母の事だ。
レイの父、サラザール。
兄は、ドレイク。
姉は、ミシェラ。
祖父は、フレスト。
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母は1度リビングを出て、鬼化羅擦をテーブルに置いた。
「これじゃ。鬼化羅擦。世界に散らばる妖刀の1振りで、主になった者にしか抜く事は出来ん。ほれ、抜いてみるのじゃ。」
祖父は先ず兄に促した。
兄は筋肉が多く、力は誰にも負けない自信があった。
「ふんっ!・・・ぐぅぅぅ・・・・・・無理だ。俺には抜けないな。姉者。」
兄は手を離し、姉へと促す。
姉は少し考えてから、鬼化羅擦を持った。
「力だけじゃダメなのよ、だからドレイクは成績が悪かったのよ?こうゆうのは、1度捻ってゆっくり引き抜けば・・・・・・無理ね?」
姉は早々に諦め、レイに渡す。
「さぁレイ。ワシらに見せておくれ?」
祖父の優しい声を聞き、レイは気合いを入れて
一気に引き抜いた。
その刀身は昨夜の血など一滴も無く、不気味に、それでいて妖艶に光り輝いていた・・・
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