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本巻に於いて各章へのあいさつ
この物語はフィクションです。実在する同名の人物、団体、国家とは一切関係ありません。
また登場する神話、聖典、伝承は現存するものを元に独自で創造されたものであり、実在のものを改変、解釈されていないものとします。
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天上に一体の天使がいた。
その者は最も輝かしい光であり、天使たちを率いる長である大天使であった。
神の御許に最も近く、神を最も愛する天使は全てを神に捧げていた。
ある日、神は自身の似姿として造られた“人”を拝礼せよと天使に仰せられた。
しかし天使はそれを拒んだ。
そして一対である“人”の片割れを唆し、禁断の果実を“人”に食べさせて天上から追い出してしまった。
天使はその罰として四肢を取り上げられたが、それでも神への信仰をやめなかった。
なぜならその者は神のみを見上げ、神だけを愛する最高位の天使であったために傲慢だったからである。
その者の名は、ルシファーである。
――天界新章・第1節『堕天』、第1項『傲慢』より
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