セッテイ:情報庁と医療庁(015話)
今に至るまでが書かれています。
読んでみてね~~
全ての始まりは、天才大学教授によって書かれた一つの論文だった。
その論文は“情報システムによる銀の酸化還元”というものだった。
男はある薬品の開発に成功したのだ。
(堅苦しいので論文部分はパスしてもらってOKです!!)
~論文抜粋~
【1970年12月5日】
13:00 私は一枚の銀板を用意し、今回開発した薬品をつけた後で燃焼させた。
14:00 一時間して黒くなったそれに電子信号を送ると
もともとの銀、独特の白色に瞬時に変わった
(略)
以上の結果から薬品が原因で、
酸化銀は還元したのではなく状態が銀に“戻った”のだといえる。
薬品のついた物質に特定の信号を送ると、
“変化したモノ”を変化させる前の状態に戻す効果があることがわかったのだ。
~論文終了~
つ・ま・り
変わってしまったモノを、元の状態に戻せることがわかったのだ。
当然この論文は絶大な影響を与え、世界を驚かせた。
俺達は例外なく全員が
“時間を戻す”なんて絶対に無理なことなのだと周囲から教えられ、そして信じきっていたのだから……
この研究は進歩に進歩を重ねて修復対象を生物にまで広げた。
また、当時は高価な薬品と大きな機械だったのが科学技術の進歩により縮小化され、
モノにはIチップが、
ヒトにはIブレスレットが設置、装着するだけ!までに……
1990年の冬、とうとう教授が目標としていたメインコンピューターが完成し、システムが始動した。
システムについてかんたんに説明すると……
チップとブレスレットがそれぞれ、メインコンピューターと信号のやり取りをすることにより建物や装着者の時間を戻して修復するといった感じだ。
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20XX年現在、この素晴らしいシステムは日本を越えて世界に普及して、多くの人を救っている。
数百枚の論文は森羅万象を完全に変えてしまったのだ!!
情報化は現在進行形で猛スピードで進化している。
それは光を強めて、影を濃くする。
【光】
メインコンピューターのある東京に巨大組織、情報庁を設置。
ヒト・モノの修復、それに関する膨大なデータの管理、より高速な処理を研究に至るまで
様々なことが行われている。
【影】
ヒトをわざわざ手術などで治す必要が無いということで病院の数は元の2%まで激減。
医療は衰えた。
存在意義を失われた医師たちは医療庁を建設して情報庁に対抗している。
他にも、数は多くはないが情報庁についてのネガティブニュースも流れる。
そのなかでも多いのは次の3つだろう。
・瀕死で苦しんでいる人さえも救ってしまうのは倫理上どうなのか……
・ブレスレットさえあれば絶対に行き返ることができるなんて命の大切さ・重さが軽んじられていないか……
・仕事が全く来なくなって失業した医者、解体業者らの生活はどうなるのか……
難しい問題だ……
今回はここまでです!次号をお楽しみに!!