~ヴァンside~スズちゃん
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「ねぇヴァン。本当によかったの?」
宿に帰る途中、ユリがそう聞いてくる。
「ほっとけなかった」
俺様は手の中にいるヒヨコを見る。
「リーリー」
「そっか。ヴァン、本当は優しいもんね」
「本当は、は余計だ。俺様はいつもクレイジーで優しいぞ」
こんなにかっこよくて超絶美男子の俺様が助けてやったからか、ヒヨコは大人しい。俺様に惚れてしまったか?
「ちょ、クレイジーは優しくないってば」
「カッコいいクレイジーなヴァン様だ。
ってか逃げないな、コイツ」
「宿の草むらに放してあげたら?」
「そうするか」
喋ってるうちにちょうど宿に着いた。
俺様は宿の横にある草むらにヒヨコを下ろそうとするが…
「なっ、なんでコイツ脚を離さない?」
指に脚を巻き付けてヒヨコは離れない。
「ほら、行けよ。行けったら」
「リーリー!」
頑として離れないヒヨコ。
「ったく、どうすりゃいいんだ?」
「もうこうなったら飼うしかないかなぁ…。鶏になったら食べればいいし」
「リ゛ー!」
「なんかコイツ、人の言ってること分かるんじゃね?
それに鳴き声もヒヨコとなーんか違うし。鶏にはなりそうにないな」
白にピンクの毛が混ざったヒヨコ。こんなの見たことねぇ。
「まぁ、まずは帰って小掲示板でペットショップを探さないと。飼うなら篭がいるし、餌もいるからね」
「そうだな。
よしスズちゃん、俺様の懐に隠れとけよ?」
「何それ名前?」
「鈴みたいに鳴くからスズちゃんだ。クレイジーだろ?」
我ながらハイセンスなネーミング。スズちゃんも懐でリーリー嬉しそうに鳴いている。
「それを言うならキュートね。さ、帰ろう」




