~生まれたばかりのヴァン視点~
……なんだろう…暖かい。
お母さんが帰ってきて温めてくれてるのかな?
「お母さん!」
「…誰か、今何か言いましたか?」
よく火を通さないと。まだ生でしょうし、お嬢様にお出しするのだから固茹でにしなければ。
「……!」
「ねぇ、パッチョ…なんか…この卵、やけに揺れてない?」
「そうだね、ムッチョ…それに何か声がするんですけどぉ!」
「何ですって?!熱!!」
僕は慌てて耳を卵に押し付ける。すると確かに声がする!
「馬鹿な?!孵化するんですか?!」
「火!火を消さないと!卵出さないと!!」
「えー茹でドラゴン美味しそうじゃね?」
「黙ってなさいオーク弟!アチチチ!水!水!!」
パキッ…
眩しい…
外…?
お母さん…?
「……」
誰?これ…お父さん?お母さんは…いないの?
「生まれた…翼の黒い、竜人?!」
この人は誰で、何を言ってるんだろう?
もしかしてご飯かな?食べていいのかな…
かぷっ
「あいってぇっ!噛むなこのクソガキ!!」
かじったら怒った。美味しそうだけど食べちゃダメなのかな?
「おい、どうした山羊少年…ってなんだその赤ん坊は!!」
「お頭~!あの卵から出て来た!」
「人っぽいけどちっこい羽ある!食べれない系なんですけどぉ?!」
食べる…?この人達、僕を食べるの?
ヤダ!食べないで!!
「ビィビィ泣いてますね。さて、どうしたものか…」
「皆~聞いて~!子供が、生まれたよぉ!!」
「お嬢様の子供ですか?!」
「勿論!男の子だよ!来てきて~!」
何かまた人が増えた。分からないけど、今僕を摘まんでいる人が移動する。
眩しくて暖かい部屋に入って、小さいのが見える。
「でかしたオリエ!」
「おめでとーオリエさん!」
「めでたい!めでたいねぇカンパニュラさん!」
美味しそうな二人がくるくる踊って、小さいのは皆に喜ばれてる。
でも、小さいのは泣いてる。お腹空いたって。
「カンパニュラどうしよう…お乳が出ないの」
「ど、どうしよう?!親父、どうしよう?!」
「慌てんな…おい、山羊少年。悪いが乳の出る家族はいないか?」
「そこにいるよ。
お母さん。お嬢様の子供と…この子にあげてくれないか?」
「いいよ。ほらおいで二人とも」
美味しそうな女の人に渡され、凄く近くに小さいのが来た。
小さいのは必死に何か吸ってる。
これ、吸えばいいのかな?
「お、二人ともしっかり飲んでるね。これなら大丈夫だよ」
「よかった。
それにしても、まるで双子みたい」
「なんなら、二人一緒に育てちゃう?」
「そうね。そうしましょ。
ユリ、この子はあなたの大切な家族よ。君も、ユリを宜しくね」
優しい女の人が小さいのと一緒に僕の頭を撫でてくれる。
とっても気持ちよくて…眠くなってきた………




