~ヴァンside~
「おい、寒いのか?もっと熱くするか?」
「いや…大丈夫」
何故か俺様にピッタリくっついてブルブル震えてるユリ。風邪でも引いたかと思っておでこに手を当ててみるが熱はない。
「本当に、どうしたんだよ。もしかして天井の事か?」
そーいや、ユリお化けが駄目だもんな。ゾンビ系のモンスターが出るったら船室から出てこねーし。
「あのな、顔みたいなシミっても、猫の顔みたいなシミだぞ?」
「…へ?」
ったく。本当に怖がりだな。
俺様は少し背伸びすると指でそれを擦る。
「取れた。
なんだ、赤カビじゃねえか。もう何もないぜ」
ただの掃除の行き届いていないだけ。
「見てみろよ、何もないぞ。今俺様が掃除してやったから」
「……」
ゆっくりと顔を上げ、ユリはようやく天井を見る。
「ほんとだ…」
「これで一人でも水浴び出来るだろ?」
「うん…」
毎回こんなただでさえ狭くて2人で入ろうものならギチギチの窮屈な水浴びはごめんだ。
「じゃあ、先に出るぞ」
1度お湯を止め、先に水浴び場から出る。
「ヴァン…ありがと」
「へいへい。ゆっくり浴びろよ」
さて。体も拭いたし、さっきユリが何見てたか気になるな。
小掲示板の前に立ち、履歴を漁ると…
(…なんだ、これか)
ユリが隠した物。それは俺様だって知ってる事。
(馬鹿め。こんな事、俺様だってとっくに調べたさ)
自分を捨てた母ドラゴンの事。
母の胎内にいる間の記憶も、優しい声も全部覚えている…。早く生まれてきてねとか、広い空を見せてあげるとか……。
「呪われた黒竜の子?!」
「こんなの、私の子じゃないわ!」
「………」
蘇る、母の声。
「待って!行かないでお母さん!」
「僕を捨てないで…捨てないで……」
どれだけ卵の中で泣き叫ぼうと、母は帰らない。
自分が捨てられ、温めてもらえず死ぬしかない中で…
俺様はアイツ等に拾われた。




