~ユリside~
新聞局で調べた激安綺麗、素泊まり宿で出てきた部屋…イボガエル亭の4階9号室。ダブルベッドルーム1泊3000ガル、3週間だと割り引きされて1泊辺り1500ガルになる。安い…安すぎる。ただ、事故物件…10年前に男女が泊まってふとした痴情のもつれから女が男を刺して殺し…それを半年も隠していた。異臭に気付いた警備団が踏み込むと女はそのまま自害…なんとも怖い事件のあった部屋だ。
…出ないって書いてあったけど、本当かな…これまでに泊まった人、数人だけだし、しかも1泊だけ。僕らは3週間も泊まるけど…うん。ヴァンから離れなければ大丈夫だよね?
「此処かぁ~。結構綺麗じゃん」
「でしょ?レンタルコンロも借りたから、もう着いたらすぐに料理も出来るよ」
ちなみにレンタルコンロは1000ガルで借りれた。3週間使い放題。
「じゃ、行こうぜ」
ヴァンと一緒に中に入るとすぐフロントが。
「予約したノーザンライツ=ユリです」
なかなか可愛い女の子が受付をしてくれる。
「お待ちしてました。部屋の鍵はこちらです。
宿泊費、3週間で31500ガル…先払いになりますがよろしいでしょうか?」
「はい」
僕がおサイフを出そうとするとヴァンがスッと遮る。
「此処は俺様が出す」
と言ってなんだかかっこつけて綺麗に31500ガル並べて出してくれた。
「はい、確かに。
お煙草は全室禁煙ですので各廊下の喫煙ルームにて吸って下さい。
新聞局の小掲示板は無料で使い放題ですが、裏掲示板は有料になるので使用の場合は横の料金箱に入れて下さいね」
「ヴァン、エッチな掲示板見ないでよ?」
「んなっ?!見ねぇよ!」
「うふっ、可愛い奥さんがいらっしゃいますもんね」
……え?なんか、あれ?僕…ヴァンの奥さんに思われた?!
「行くぞユリ。俺様腹ペコだ」
鍵を持ってさっさと行ってしまうヴァンを追い掛けて…僕は訂正したいのを堪えた。
「おー!海が見えるいい部屋じゃん!」
4階9号室に入るとすぐに大きな窓から海と街並みが見えた。
「おい、何してんだ?」
さっそく僕は部屋に飾ってある絵画の裏をチェック……うん。あるね、お札。
「何でもない。
お腹空いたよね、食材買いに行こうか」
あまり部屋にいたくないからヴァンと買い物に行こ。
「よっしゃ!肉買いに行こうぜ肉!」
「はいはい。安いとこ行こうね」
部屋に保冷庫がついているのを確認し、ちゃんと機能しているかも確認する。
…よし、これなら3日分は入るね。
後は…掲示板で特売店をチェック。
「二番街に業務用激安商店があるね。此処にしようか」
「おう。場所は…分かった。あそこだな」
ヴァンが窓から指差す場所。大きく看板が出ているから間違いない。
「じゃ、行くか!」
「え、ちょ…」
窓を開け放つとヴァンは僕を姫抱きして飛び出す。
「えぇぇぇぇー!!」
そのまんまワサワサと翼を拡げて飛んで…あっという間に着いてしまった。
ちょっとドキドキしちゃった…。目立つ事、しちゃいけないんだけど…
「よっしゃ、肉!」
ヴァンの顔見ると、怒れない。
「おい、早く行くぞ!」
「う、うん!」




