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ノーザンライツ団航海日誌!第一期  作者: カナル
第二話「盆休みの始まり」
17/61

~ヴァンside~

「おいしそー!」


「うまそー!早く食べよー!」


「こらこらまだ駄目だよ。ユリ、ヴァン、早く席について。船長からいつもの言葉があるからね」


「おう」


ドカッと自分の席に着くとクソジジイは咳払いをする。


「今年も半分が終わった。我がノーザンライツ団はこれから盆休みだ。お前らよくやってくれた」


半分かぁ…。早く後半分経たねぇかな。大人になりてぇ。


「カンパニュラ」


「はい」


「オメーはいい加減そのキレる性格直せ」


「努力はするよ…」


「オリエ」


「はい」


「無茶はするなよ」


「えぇ」


「アルム」


「はい」


「いつも皆のサポートすまんな」


「構いません」


「ムッチョ」


「は、はい」


「格闘大会頑張れよ」


「あいさっ!」


「パッチョ」


「あい」


「宿舎の飯食べ放題だからと言って食い過ぎたら試合に響くぞ。注意しろ」


「あ…あい…」


「ユリ、ヴァンが悪さしねぇように見張ってろ」


「うん。任せて」


「ヴァン」


「……」


「何もねぇとは思うが、ワシらに何かあったら頼むぞ。白獅子のとこにいけ」


「……おう」


もしも、だ。ノーザンライツが全滅、もしくは戦闘員が全滅した場合はクソジジイの奴、俺様に白獅子のオヤジのとこに行けっていつも言ってる。そんな子供じゃねぇし、俺様一人でも生きていけるのにな。


「さあ、そろそろ食うか。

皆ご苦労だった!」


ジョッキを掲げ、皆で乾杯するとさっそく御馳走を食い始める。


「うまっ!やっぱりイルカ亭の飯は最高だな!」


毎年盆休みの前に皆で食う飯はクソジジイの知り合いの宿、イルカ亭に頼んでいる。持ち帰りも出来るこの飯は人気で、毎日予約でいっぱい。提携型の宿なので割りと其処らにある。去年はヨーク諸島で盆を迎え、同じようにイルカ亭グルト店で飯を買ったって言ってた。


「そうだね、海賊宴セットBはボリュームもあるし、安いし」


「肉!肉ぅ!!」


「パッチョ、そんなに急いで食べると喉に詰まるよ」


俺様も負けじと目の前の鶏の丸焼きにかぶり付く。


「え~、今回のオリエさんへのお手紙を発表します」


「いよっ!待ってました!」


さっきのお宝の包みの横にあったでかい包み、やっぱあれ…オリエさんへの手紙だったか。


「えーと、我が娘オリエへ…ワシはもうぎっくり腰で永くない…だから帰って来て隣の国の領主と結婚してほしい」


「ちょ、ぎっくり腰って」


ぎっくり腰で死ぬオリエさんのクソオヤジがすげぇなと思いながら飯を食べ続ける。


「シュレッダー!」


「はいはい…いただきます…ムシャムシャ…2通目…我が最愛のオリエ…ワシは深爪でもう永くない…だから帰って来て貴族の息子と結婚してくれ」


相変わらず、凄いセンスだな。もう、病名一覧でも見ながら書いてるんじゃねぇかと。

ま、印刷代もあっち持ちでタダだし、アルム兄貴の飯が困らなくていいか。


「アルム、今日は何味にしたの?」


「トウモロコ紙に黒蜜インクで印刷してきましたよ。中々美味しいです」


山羊だから紙食べるしなぁ…草も食べるし。兄貴の食費がダントツ安いわ。


「えー、3枚目…オリエ、さっさとそんな海賊と別れてこっちへ戻ってこい。家でも何でも買ってやる。だから2軒先の知り合いの息子と結婚してくれ…ムシャムシャ…」


「もういいわ、アルム…全部読まないで食べちゃって」


「はいはい…それじゃ遠慮なく…」


はぁ…しっかし、手紙を書いたとこでオリエさんがカンパニュラさんと別れて家に帰る訳ねぇだろと。


「オリエは渡さない!オリエ~頼むから帰らないで~離婚しないでぇ~」


酔っぱらったカンパニュラさんがオリエさんに抱き付いて泣き始める。


「大丈夫よアナタ。私のダーリンはアナタだけ」


ったく、見てられねぇぜ。








宴が終わると皆貴重品を持って船から降りる。


「それではアウロラ号をお預かりします」


「おう!頼んだぞ」


船のメンテナンスを頼んでいる職人が我等ノーザンライツ団の船アウロラ号を取りに来る。半年に一回のこのメンテナンスは大事だって小さい頃からクソジジイに口酸っぱく言われてる。


「本当に…盆の始まりを感じるよ」


染々と、ユリはドックに向かっていくアウロラ号を眺め呟いた。


「たったの3週間だ。3週間経ったらまた此処へ皆戻ってくる」


「うん…」


振り返ったユリはにこりと笑って


「さぁ、皆の見送りにいこっ」


と、俺様の手を引っ張って歩き出す。

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