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プロローグ 憧れを求めて

 

 準黄桜高校寮 別名 「準桜」


 広さは約200平方ぐらいで建物は平屋造り、なのに部屋はたった10部屋。

 築50年のそこそこ年季の入った建物である。

 高校の学生寮としてはもったいないいぐらいである。

 高校一年生の僕、新月 葵 はそんな準桜に胸を躍らせながら入学してきた一人である。

 生徒や先生に


「準桜はやめとけよ!」


 ってひっきりなしに言われたものの、その時は訳が分からなかった。

 でも、今ならはっきりわかる。ここに来てはいけなかった理由が・・・


「ここにいた!逃げちゃだめだよあなた」


 そういって後ろから抱きつかれる。


「ああ!なにしてるんですか!俺はあなたの旦那じゃないし、まず、あなたは私のあこがれた先輩様ですよ!」


 この人は 言葉 雨音 黄桜高校三年(情報工学部)

 天才プログラマーである。僕がこの先輩を知ったのはつい一年前のことである。


 ~一年前~


「ねぇねぇ、この人知ってる?」

「ああ!この人すごいよね!」


 言葉 雨音

 全国プログラミング選手権 アプリ部門 5連覇


 インタビュアー 「何かいつも考えていることってありますか?」

 雨音さん    「何も考えません!」

 インタビュアー 「えっ!?それはどういう?」

 雨音さん    「自分のしたいことを目の前にして考える必要あります?

          自分のしたいことを実現するためにプログラミングしてるんです」


 当時中学三年生で、将来のことなんかなんも考えてなかった自分にとってはとても魅力的にその言葉が目に入った。


「(自分のしたいことを実現する・・・)」


 それからそのことが頭の中から離れなくなっていた。もともと何かを作るというのは好きだった。

 中学校の作品展にはいつも出してもらっていたし、自分でもそれなりにしたいことはあった。

 ただ家ではそんな案がいくらあっても家では現実化することはできない。

 自分の部屋は五畳のワンルーム。

 そんな部屋で作品の制作なんてできるわけがない。


「(でも、パソコンなら場所は必要ない)」


 そんなことも考えながら、進路相談も始まって先生と相談しながら決めた高校。それが

「私立黄桜高等学校」 だったわけだ。

 受験界隈ではあまり有名ではないのだが、情報工学の世界の中では名のある高校だ。

 なんせ、卒業者の就職率100%はだてじゃない。

 大手企業の推薦枠を持っているため、みな各企業の即戦力に駆り出されていくわけだ。

 まあそんなわけで本来ならみんなさっさと卒業して社会人!ってところなのだが・・・ 


「もう 何ボーとしてるの さっさと高校の勉強なんて終わらせてしまえ そしてわれについてこい!」


「今僕高校一年生ですよ!しかも今はまだ四月ただでさえこんな環境で混乱しまくりです!」


「なんで?もう、うち内定決まったよ まあ、受けないけど」


「なんで!」


「だって 面白くなさそうだもん」


「じゃあどこに行くんですか?」


「どこにも行かない 作るんだよ!」


「ああ、そうなんですかーって はあ!?」



「ああもう、うるさいなあ。まだ朝の十時だぞっ 静かにしろ」


「”もう” ですよ もう!いい加減起きてください若塚先輩!」


「だって昨日は10時まで #include <stdio.h> int main(void){・・・」


「ああわかりましたわかりました...もう言語が日本語じゃなくなってます。」


「え?そんなことないよねあまね?」


「printf("うんうん”); return 0;}」


「返さなくていいんです!」


 若塚先輩は雨音先輩の同級生でまさしくこんなキャラでびっくりするほど自由奔放な性格である。

 そして。この人もすごいプログラマーなのに就職しない一人である。


 「にしても葵、なんで準桜に来たんだ? ここに来るなんてよっぽどの変人だぞ?」


 「それ、自分のこと言ってます?」


 「ほ?私は変人じゃなくて何なんだ」


 「(自覚してたのか)私がここに来たのは雨音先輩のせいですから。」


 「ほう、つまり私に惚れたんだな。素直じゃないなぁ葵は~」

 実際のところ、ここに来たのはまさしく雨音先輩がいるからである。ただ、こんなのだとは思ってなかったわけだ。


 そもそも準桜ってのは、彼女らのように優秀ながらも卒業しない生徒が集まる寮である。雑にいうところの「厄介払い」 まあ学校としては就職率100%を崩したくないようで、何が何でも就職させようとする。これがこの学校の闇?っぽいところでもあるが、普通に生活してりゃみんな就職する。逆にこの待遇で就職しない奴のほうが危ないやつだ。


 現在この寮に投獄されているのは私含め6名ほど、ここから楽しい監獄ライフの始まりである。











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