表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/40

現世の様子が気になりました。

 『具現化』の術を教えてもらってから、数日が過ぎた。


 俺は食べ物を出したり、着替えや食器などの、必要な身の回りの品を出すことで、だいぶこちら側に慣れてきた。

 

 驚いたことに、だんだん慣れてくると、一日が終わり、日が沈むということが無くなってきた。『気』を使って疲れが出て、眠くなり、起きて外に出ても太陽がさんさんと輝いている。こちら側は、ずいぶん生きていた時と違う時の流れがあるようだ。


 ふと、俺は生前のことが気になった。親に会うことはできたから、あまり悔いはない。だが、学校の友だちや、先輩、後輩のことを思い出すと、いたたまれない気分だ。


 俺がいなくなって、あいつらどうしているんだろう。変わらずワイワイやってるだろうか。あまり、俺のことでしょんぼりしていてほしくないなぁ。


 囲炉裏の部屋で茶碗ちゃわんとごはんと(はし)を『具現化』して、もぐもぐ食べながら俺はそんなことを考えていた。


「弘、どうしたのですか?」


 柚子が首をかしげた。


「いや……ちょっと生きていたころのことを思い出してな。学校のやつらが、どうしているかなって」

「様子を見ることもできるですよ」

「ほんとか!? どうやって?」

「現世のうつしよのかがみを使うのです」

「現世の鏡?」

「この建物のとなりに神社があるですね。その社の中で光っているのが現世の鏡なのです」

「ああ……」


 俺は、天照さまに連れられてここへ来るとき、最初に見た神社を思い出した。


「現世へ行くと、悪霊や悪さをする妖怪に会うこともあるのですよ。様子を見るだけなら、現世の鏡でやれば安全なのです」

「なるほど」

「では、ごはんを食べたら行ってみるのです」

「おう」


 俺はごはんを急いで食べ終えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ