愛実ちゃんと将くんの結婚式を見守りました。
神社の大きな本殿に、人がたくさん集まっている。その中心は、綺麗な和装の男女。あの中学生だった将くんと愛実ちゃんだ。
成長をしてまぶしい成人の姿になっていた。ふたりとも幸せそうな顔をして、彼らの親や友人たちが見守るなかで結婚指輪と三々九度の杯を交わした。……そして、互いのキスも。
「そうか……もう結婚式になったのか」
俺はさっきまで中学生だったふたりのことを見ていたから、あっと言う間にこの結婚式を迎えたような気がしてしまった。
「うちの神社は、結婚式も行っているでゲコ。結婚指輪とキスのとこだけは、洋式を取り入れたでゲコよ」
なるほど。神社のやり方も現代を取り入れて、すこしづつ変わるところは変わっていくわけだ。
「ふたりとも、いい笑顔でー!」
写真のひとが着物姿の愛実ちゃんと将くんをパチリ、と撮る。
「あれ……?」
写真のひとがデジカメを確認すると、その画像にはふたりを囲んだ、たくさんの光輝く玉が宙に浮いていた。
「おっと、工藤君。私たちがオーブとして写ってしまったよ。すこし離れておこう」
天照さまが悪戯っぽい微笑みを浮かべた。
「こういう結婚式にはね、工藤君。お互いのご先祖さまたちも、ゆかりのある神々も、喜んでその場に駆けつけているんだよ。それで、ときどき円形のオーブという物質として、こうして写ってしまうこともあるんだ」
「そうなんですか……じゃあ、そういうときの心霊写真は、恐いどころかとても大切なものですね」
そんな会話を交わしながら、俺たちは遠巻きにふたりを見守ることにした。
「もう一度行きまーす!」
パチリ。
今度は、お邪魔せずに写ることが出来たようだ。
幸せそうなふたりと、その周りのひとびとは、神社での結婚式を終えて披露宴へと向かうようだ。
「さあ、工藤君。次の時間へと行こう」
天照さまの声で、俺たちはその景色から遠ざかって行った。




