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時が過ぎたら、愛実ちゃんが中学生になっていました。
だいぶ、現世では時が過ぎたらしい。
俺は、喜美さんと卓司さん、そして成長し、中学生のセーラー服を着ている愛実ちゃんが家でケンカをしているところに出くわした。
「お母さんとお父さんはいつもそう! 過保護なのよ」
愛実ちゃんが怒りに燃えている。
「愛実。でもね……」
「でもねじゃないよ! せっかくボーイフレンドが遊びに来てくれたのに、追い返すなんて最低な親だよ」
「しかし、俺たちに何も言わずにそんなやつを作って、急に家へ呼んだお前も悪いんだ」
「わたし、もう中学生だよ!? ボーイフレンドくらい遊びに来てもらってもいいじゃない! バカ!」
愛実ちゃんが、制服のまま家を飛び出した。時間はもう夕暮れのようで、太陽が空に紫色の光を投げかけて町の向こうに沈もうとしていた。




