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生まれ変わりについて知りました。

 俺はお盆の上の湯飲みに茶を入れて、柚子と邪鬼姫に差し出した。


「ありがとうなのです、弘」

「むむ、気が利くのう」


 柚子と邪鬼姫が笑顔になった。ずずっと俺も茶をすする。こちら側では飲み食いする必要がないのは分かっているんだが、このほうが気が落ち着く。まだまだ神さまになったばかりだから、この辺りは勘弁してもらおう。


「お邪魔するよ」


 天照さまの声がした。囲炉裏の部屋にフッとどこかから天照さまが現れる。


「お初にお目にかかる。弘殿の眷属になりし邪鬼姫と申す」


 身を固くした邪鬼姫が頭をうやうやしく下げた。


「うん。今後、工藤君のことを助けてあげてほしい。よろしく」


 天照さまが微笑んだ。


「どうしたのですか、天照さま?」


 柚子が尋ねる。


「工藤君のおばさんのことを覚えているかい。彼女がいよいよ現世に輪廻することになったんだ。今、大国主命と私と、生まれる前の神々である、生まれ先の先祖の神や、生まれ先の土地神とで調整をしている。せっかくだからその様子を工藤君にも見てもらって、神さまとして学んでもらおうと思ってね」

「輪廻ですか……ほんとにあるんですね」


 俺は天照さまに正直な気持ちを告げた。


「そうだよ。神々や霊の世界であるここは、生まれる前と死後の場所だからね」

「了解です。おばさんのところに連れて行ってください」

「わたしも行くのです」

「わしもじゃ。ここにおっても退屈じゃでな」

「ははは。だいぶにぎやかになってきたじゃないか、工藤君」

「そうですね」

「では行こう」


 天照さまがそう言うとふわり、と俺たちの体が浮き上がった。

輪廻りんね……輪廻転生。前世、今生、来世と、時間軸に従って、より良い魂になるために現世に何度も生まれ、死ぬまで経験を積むこと。最終的には主人公のように神々の世界で転生しない状態になることを解脱げだつという。人はあらかじめ、どんな人生になるかという青写真を霊界で知ったうえで転生する。いずれにしても、どんな境遇であれ、一番新しい今生が魂として一番成長しているので、前世の記憶に固執するよりも、前世の未練をどう乗り越えるかが重要だ。

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