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006-いい香りと公害と

既出の作品のお引越です。

初めての方もそうでない方も是非ご一読を。

『あぁ…今日の合コンもダメだったか…。』


 …井伊かおリは今日も嘆いていた。

 かおりは決して不細工でもなければ性格が

 悪いわけでもない。

 だが逆に言えば、美人でも優秀でもない。

 すべてが平均的な凡庸ぼんような女性だ。


 自分でもわかっている。

 男にモテるには、何か特徴が必要だと…。


「もしもしお嬢さん。何かお悩みですか?」

 一人の年配の男性が、かおりに声をかけた。

『実は…カクカクシカジカで…』

「なるほど…だったらこれを使いなさい。」


 男は一本の薬瓶をかおりに手渡した。


「これは不思議な香水です。これをつければ、

 貴女は男性にモテるようになりますよ。」

『…ほ…本当ですか??』

「本当です。貴女の印象は変わりますよ。」


 次の合コン。

 かおりは早速、例の香水を試してみた。

 とはいえ控えめな性格の彼女は、ほんの少し

 つけただけなのだが…


 成果は早速あらわれた。

 何人もの男性に同時にアプローチされたのだ。

 …かおりは手ごたえを感じた。


『すごい…これならば次はもっとうまくいく。』

 かおりは香水を毎日つけるようになった。


 …次回の合コンでも成果は表れた。

 だが…今度は少し前回とは違う。

 近くの席の男性だけでなく、遠くの席からも

 アプローチされるようになったのだ。

 だけど…近づいてきた男性はみんな、少しずつ

 かおりから距離をとるような態度をとるのだ。


『おかしいな…前回と何も変わってないのに?』


 その後…かおりは合コンに誘われなくなった。

 やがて電車やエレベーターで、自分が周囲の人に

 避けられるようになったのに気付く。

 久々の合コンでは…店に入れてもらえなかった。



『これはきっと…この香水のせいだ!!』

 …香水をくれた年配の男性を探し出したかおりは

 男に強く抗議した。


『ちょっと!この香水はいったい何なのよ!!』

「えっ…いたって普通の香水ですよ。」

『うそ、じゃぁなぜみんな私から距離をとるの!?』

「おそらく…貴女が臭いに鈍感になったからです。」


 男が言うには…

 香水をつけ続けると、嗅覚が鈍くなるらしい。


「失礼ですが…相当に臭いですよ。貴女。」

『そんな…自分ではちょうどいい香りなのに…』

「いつもの香りには特に鈍感になりますからね。

 自分でちょうどいい程度と思っているのなら…

 それはもう害悪だと思った方がいい。」


 かおりはショックだった。

 今の状況を考えれば、きっとこの男が正しいのだろう。

 でも…害悪は言いすぎだ…。


『そんな…人のことを公害みたいに言わないで!』

「残念ながらかおりさん…貴女は香害こうがいです。」


 …おあとがよろしいようで。



ちなみに作者は視力も聴力もダメダメなのに

嗅覚だけは人並以上です。

あとついでにアレルギー体質です。


香害には本気で迷惑しています。トホホ…


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