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003-介護する人される人

既出の作品のお引越です。

初めての方もそうでない方も是非お一読を。


『私の若いころは…そりゃ美人で…仕事もできて…

 あんたみたいな不真面目な介護士には…爪の垢を飲ませてやりたいよ。』

『まぁたその話ですかぁ??…ボケてるんですかぁ??』 


 真新しい白い建物の中、感じの悪い老婆と感じの悪い介護士…

 どこの老人施設でもよくみられる光景だ。


 介護士見習いの若井有未わかいゆみは、この老婆を見下している。

 大きな仕事もせず、結婚も出産もしなかった孤独な老婆を…。



「でもね若井さん。お年寄りはもっと大切に扱わないといけないよ。

 キミもいずれ歳をとるんだから。」

『センパァイ。そりゃぁ私も歳はとりますよぉ。

 でも私はぁ、あんな年寄りにはならないと思うなぁ。』

「なぜそう思うんだ?根拠がないだろう?」


 先輩介護士に言われて若井は少しムッとした。

 …やはり男にはわからないようだ。


『だってぇ、私はまだ若いしぃ…ルックスもいいしぃ…。』

「若いって…キミももう20代後半だろう。」

『でも私はぁ、仕事に生きていますからぁ。』

「仕事って…キミはバイトだろう。介護士資格もないのに。」

『でもぉ、いざとなったら結婚しますからぁ。』

「そううまくいくかな??。男だって相手は選ぶぞ。」

『…失礼ですよぉ。それに卵子の冷凍保存もしましたからぁ

 もし結婚できなくてもぉ、孤独にはなりませんよぉ。』


 ふぅん。こんな女でも一応、人生計画はしてるんだ。

 先輩介護士はそれ以上は何も言わなかった。 



 …確かに今は、一生独身を貫く者も多い。

 若いころは仕事に生き、落ち着いてから出産するのもありだろう。


 しかし…人生そうそう計画通りにいくわけではない。

 本当に必要なことは、甘い考えで後回しにしてはいけないのだが…



 ……そして50年後

 古ぼけた白い建物の中で、身寄りのない孤独な老婆が介護を受けていた。


『私の若いころは…そりゃ美人で…介護の腕もよくてぇ…

 あんたみたいな不真面目な介護士には…爪の垢を飲ませてやりたいよ。』

『はいはい分かりました。

 だけど介護士の資格もないのに腕がよかったって??プッ。』

『へん、あんただって何の資格もないくせにぃ!!』

『でもね…私はあなたのようにはなりませんよ。…若井さん。』


 さて…さらに50年後が今から楽しみだ。



ループの恐ろしさ。

もしかしたら100年後も続いてるかも…。

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