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025-性格0点の美人と見た目0点の好性格…どっちを選ぶ?

昔からよくある下世話な質問。

実はこの答えで分かることがあるようで…

「では理想の女性像は?」

「ええっと…美人で性格が良くて家庭的で若くて…」

「失礼ですが…そんな女性が本当にいるとお思いで?」

「えっ??ここにはいないんですか??」



 まただ。。

 …ウチの結婚相談所にやって来る人のなかには、

 異性に幻想をいだいている人が少なくない。


 見た目も年収も人並み以上でないとダメ!

 人柄も性格も家柄もよくないとダメ!

 さらには長男はイヤとかB型はイヤとか…


 …毎日のようにそんな非常識人がやってくるのだ。

 まったく…友人と酒でも飲まないとやってられない。



「…大変だな。結婚相談所の職員も…。」

「ああ。酷いよ。

 およそ異性と付き合った経験がないんだろうな。

 殆どあり得ない人物像を毎日のように聞かされて…」

「仮にそんな理想の異性がいたとしても…

 そんな幻想をえがく人では相手にされないだろう?」

「ああ。それ以前にそんな完璧な人間なら…

 ウチにくる前にとっくに相手を見つけているさ。」


「でも、そんな連中を結婚させるのがお前の商売だろう。

 どうやって妥協させてるんだ??」

「…とりあえず、子供みたいな質問をするんだよ。

 性格が100点で見た目が0点の異性と、

 見た目が0点で性格が100点の異性のどっちを選ぶって。」


「…そりゃ…性格がいい方がいいだろう。

 美人でも性格が悪い相手との結婚は…地獄だぞ。」

「ああ。男女を問わずほとんどはそう答える。

 そんな質問を繰り返せば条件は絞れていくんだよ。」

「…それで幸せな結婚はできるのか??」

「そうだけどな。

 だからウチの相談所では…見た目が100点で性格が悪い

 異性を選んだお客を優先して対応してるんだ。」



 …意外な答えが返ってきた。

 誰だって性格の悪い異性との結婚はいやだ。

 なのに何で、そんな面食いを大事にするんだ??


「だってお前…考えてみろよ。

 性格が悪い美人はいくらでもいるけどな…

 見た目が0点で性格100点なんて本当に居るか??」

「え…居ないのか??

 モテない自称性格美人は少なくないだろう??」


「いや、性格が100点なら努力家で自分に厳しいはずだ。

 そんな人が醜く肥え太るか?惨めに痩せ細るか?」

「たしかに…」

「あと他者に不快感を与えることを嫌うはずだ。

 そんな人が不潔でみすぼらしいなど考えられるか?」

「それはそうだが…」

「さらに他人の意見を素直に聞けるはずだ。

 だから奇抜で印象の悪い服装や髪形は選ばない。」


「つまり…性格と見た目は一致すると言うことか??」

「そこまでは言わないけどな…

 表情には人格が現れ、立ち居振る舞いは上品。

 性格が100点というのはそういうことだ。

 顔の造形に関係なく…それはもう美人なんだよ。」



 …そういうことか。

 性格が100点なら…見た目が0点などあり得ないんだ。

 つまり…さっきの質問の意図は…


「そうか。性格が100点で見た目が0点の人間は存在しない。

 その現実を理解できる人にこそ可能性があると…」

「そうだ。それにもう一つの意図がある。

 性格がいい、自分に厳しい努力家でも見た目が悪いのは、

 興味が恋愛以外にあると言う意味なんだ。」

「なるほど。たしかに恋愛に興味のない異性を想っても

 交際できる確率は低いよな…。」

「…逆に性格が0点の美形は確実に異性に興味がある。

 そりゃ誰でも性格の悪い異性を相手にしたくはないが…

 少なくとも向こうは求めているんだからな。」



 …そういうことか。

 いい年をして結婚相談所にまで来てるのに…

 世間知らずで異性についてまるで知らず、そのうえで

 付き合う意思のない異性を狙っているようでは…。



「そう。厳しいことを言うようだがまず現実を見る。

 そして交際に興味がある相手をターゲットにする。

 こういう人でないと、結婚相談所でさえ打つ手なしさ。」

「…その通りだな。

 だがそれは結婚に限らないんじゃないのか??」


「ああ。俺はこの業界に入ってやっとそのことを知った。

 もしもっと前にこのことを知っていたら…」

「知っていたら??」


「希望していた業界に…就職できていただろうな。」



 たしかに当時の俺は世間知らずで現実を見てなかった。

 だから今、俺が相談者たちにいらだちを感じているのは…


 …昔の俺を見ているからかなのかもしれない。



現実を見つめ、自分を求める相手を探る。

何事にも大切なのでは?

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