024-更生確率
久々に重めの社会問題です。
考える要素は多めです。
笑える要素はほとんどないです。
「判決…被告人を無期懲役に処す。」
おお、また死刑回避だ。
報道陣は色めき立った。
死刑反対派は、まるで自分の勝利のような大騒ぎだ。
「あぁ、またかよ。」
「しかもあの判決文は何だよ。
”更生の可能性がないとは言えない”って」
「そりゃ…言えないわな。神様じゃないんだから…。」
「あの犯人が出てくるのは早くても数十年後だからな。
そんな先の人間の可能性なんて誰も分からないよ…。」
まったく、でたらめな判決理由だ。
言えるわけのないことを言えないから減刑なんて…
だけどそれが理由で一人の人間の運命が決まるのだ。
そして、あの狂人に苦しめられた遺族たちの運命も…。
…でも、この問題は解決するかもしれない。
技術開発の著しい近未来。
そんな憤る人々に一つの発明がなされたのだ。
名付けて”更生確率判定機”。
悪人の情報を入力すると、その更生の可能性が表示
されるという代物だ。
ちなみにさっきの被告の情報を入れてみる。
「え??。更生確率80%??
あんな悪人でもこれほどの確率で更生するのか??」
「…でもこれ…、同じ犯罪を二度しない確率だから。」
…はぁ、なんだそりゃ??
あんなひどい事件を二度と起こされてたまるか!!
逆に言えば再び殺人する可能性が20%??
そんなヤツをシャバに戻していいのか??
「ダメだ…。やっぱり死刑以外ないだろ!!」
「じゃぁ”更生の定義”を厳しくしてみよう。」
…というわけで更生の意味を、
≪二度と犯罪行為をしない≫という意味に変えてみた。
すると…更生確率は30%と表示された。
「…酷いな…。70%の確率で再犯するんだろ…。」
「でも、逆に言えば30%は更生できてるんだろう。
ならば死刑回避はやむを得ないんじゃないか…」
そうだろうか??
そもそも”更生”ってどういう意味だ?
社会的に役に立ち、最低限の納税ができて初めて
”更生”といえるのではないか??
「…確かにな。いくら30%は再犯しないとはいえ…
そのほとんどが生涯生活保護だぞ。」
「そ…それは酷すぎるだろ。
どう考えても社会にとってはマイナスじゃないか!!」
「でも、犯罪者にだってもっとマシなのはいるだろ。
他の被告とかでも試してみないか??」
…というわけでいろんな罪人で試してみたのだが…
≪刑務所でかかった費用以上の納税をできる確率≫で
調べてみると…そのほとんどが更生確率0%だった。
「いくらなんでも酷すぎるじゃないか!
裁判なんかいらねぇ!全員死刑にすべきだ!!」
「だけど、それに反対してる連中がいるんだ。」
「なんだよ!左巻きの人権派なんか放っておけ!!」
「…いや、人権派じゃないんだ。」
「じゃぁ誰だよ!!」
「刑務官だよ…。」
「はぁ…なんで連中が反対するんだ??」
「だってさ、何十年も刑務所に置いといた懲役囚が
出所後に誰一人社会の役にたたないとなったら…」
…たしかにそうだ。
でもじゃあ何のために刑務所はあるんだ??
高い税金をかけて寝食をあてがって…
犯罪者は自由を失って…
その結果、出所後は何の役もなさないなんて…
「だよな…罪人だって無駄な時間を過ごすべきではない。
せめて失った時間の分は、出所後は有意義な人生をと
思うのが普通じゃないか…」
「じゃあ…なんでそれができないんだ??」
「…罪に対する罰が軽すぎるからだと思う。
充分な罰が与えれらなければ世間が許してくれない。
だから前科者は出所後もその過去を隠すことになる。
それじゃ…誰一人として幸せになれない。」
「だな。…世間が納得する罰を与え反省させなきゃ…
出所後も前科者はまったく社会の役に立たない。
それじゃ…時間と金の無駄遣いだよ。」
…悪人が、広い意味で更生する確率はゼロではない。
だけど、真の意味でに罪人の未来が晴れる確率って…
実は何パーセントぐらいなんだろうか?
今のところ…傘は持っていくべきだろう。
降水確率が30%以上なら私は傘を持って出ます。
では更生確率が何%なら…
あなたは現在の司法の在り方を支持しますか??




