023-テレビって誰のもの?
最近テレビがつまらなくなった原因…
それって誰のせい??
『プロデューサー!私もう耐えられません。』
「どうした。新人ADの鈴木ちゃん。」
『だって今のテレビって…つまらないものばかりだって
友達に言われるんです。』
「うーん。それがなぜ困るんだい。」
『えっ…』
意外な答えが返ってきた。
つまらない番組ばかりでは困るのではないのか??
「そもそも何がつまらないんだい?」
『だって芸能人同志がゲームで対戦して…
どっちが勝つかなんて誰が興味あるんですか??』
「…誰もないと思う。」
『ちょっと動ける程度の芸人とスポーツ選手を対戦させて…
半笑いのアスリートなんて見る価値がありますか?』
「…価値なんてないね。」
『素人に毛の生えた程度の少女がアイドルと名乗って…』
「…あんな歌は聴くに堪えない。」
じゃあ…なんでそんな番組を作るんだ??
鈴木はわからなくなった。
「なぁ鈴木ちゃん。視聴者にとっていい番組を作るには
金がかかる。その金はどこから出ると思う?」
『そりゃ…スポンサーから…』
「じゃぁスポンサーにとって都合のいい視聴者って
どんな人だと思う?」
『…わかりません。』
「それはね、TVで言った内容を信じてくれる人だよ。」
鈴木にはまだピンと来ていない。
でもプロデューサーは続けた。
「いいかい。まともな人間はTVで言ったことを疑うんだ。
だからCMでどんなに商品を褒めたって信じてくれない。」
『そうなんですか??』
「そうさ。≪売上ナンバーワン≫って言ったって信じない。
≪どこでどうやって調べた??≫ って具合さ。
でもね…まともでない人はそのまま信じてくれるんだ。
TVで≪売れてます。≫って言えば、買ってくれるんだ。』
『…ほんとですか??』
…にわかには信じられなかった
でも…思い当たる節はある。
ちょっと宣伝するだけでトマトが爆発的に売れたり…
変なダンスが流行ったり…無実の人が犯人扱いされたり…
『そうやって…視聴者をだましてたんですか??』
「だますって人聞きの悪い。
いいかい。テレビが人気者っていえば人気者になる。
テレビが流行といえばそれが流行になる。
テレビが二枚目と言われた人は二枚目になる。そういうものだ。
いや…それを信じる人こそスポンサーの求める視聴者だ。」
『じゃあ…まともな人はテレビを見なくなりますよ…。』
「いいじゃん。どうせそういう人はCMに影響されないから。」
『でも…公共の電波ですよね。』
「だからいいんだよ。どうせまともな人はゴールデンタイムには
たいてい仕事をしてるんだから…無視していいよ。」
呆れてしまった。
…番組の質が下がる理由を思い知らされる。
おそらく今の視聴者の中でも、比較的まともな人はそろそろ
テレビを見捨てるだろう。
そうなるとさらに低質な番組が増えて…
「それはそうとさ。鈴木ちゃんの好きな色は?」
『唐突ですね。…ええっと黄色かな。』
「じゃあ決まり。明日の情報番組での流行は黄色の服。」
『えっ…それ、プロデューサーが決めてるんですか??』
「適当でいいんだよ。
見ててごらん。今月だけは町中に黄色の服が増えるから。」
『酷い…いずれ誰もテレビを見てくれなくなりますよ…』
「いいんだよ。その方が俺たちに都合のいい視聴者が増える。
何も考えなくていい番組を作る方が楽だろう。」
『…私たちは楽ですけど…それでいいんですか??』
「いいんだよ。だって大手のTV局が言ったじゃないか。
見たくないヤツは見なければいいってさ。」
ダメだこりゃ。
いずれTVという媒体は、淘汰されるのかもしれない。
いや…むしろ淘汰されるべきは、見る側なのかもしれない。
なお200コンで原案を作ったフルバージョンです。
これぐらいの長さがちょうどいいかな?




