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017-生活保護費を削ろう

一種の社会への提案です。

ちょっと極端ですけど。

「え、生活保護を引き下げるんですか?」

「そうだ。極限まで引き下げてくれ。」

「…じゃぁ…徹底的にやってもいいんですか?」

「ああ…そうしてくれ…。」


 ≪生活保護≫は本来は最低限の生活を提供するもの。

 だけど≪保護費が高すぎる≫というのが一般の民意。


 そこでうちの市役所では、本当に最低レベルまで

 生活保護費を引き下げることにした。

 そう…

 ≪貧困ビジネス≫なる商売をモデルにして…

 


 …まずは食事だ。

 与えられる食事量は刑務所よりも少ない。

 しかも調理師もいないから…味も栄養も良くない。

 というか調理自体がセルフサービスだ。

 働いていないのだから調理時間は十分にあるはず。


 …次に居住区。

 市の片隅に仮設住宅が建てられた。

 一人当たりの割り当て面積は…畳二畳相当。

 生活保護者はここでの集団生活が義務付けられる。

 もちろん入所時に、財産はすべて没収だ。


 …衣服や日用品は廃棄物からの再利用。

 子供の学校は統合され、教科書は他校からのお古。

 携帯電話もネットも金がかかるから禁止。

 得られる情報は古新聞と事務所のテレビのみ。

 病院は指定され、薬はその場で呑むことに…。


 …さらには街の清掃業務が義務付けられたが…

 支払われる報酬は…ゼロ。


 自由に得られるものはたった三つだけ。

 ≪就職情報誌≫と≪履歴書≫と≪安物のペン≫…。



 さすがに反対意見も多かった。

 …だが実際に運用すると問題は全くなかった。

 何しろこれまでの生活保護の受給者のほとんどが、

 隣の市に引っ越してしまったから。 

 そして不正受給はゼロになったから。



 しかし、数年後には隣の市でも改革が行われた。

 すると生活保護者はさらに隣も町に引っ越した。

 そしてその町でも…さらに隣町でも…


 こうして全国の市町村は競って改革を実施。

 そのたびに生活保護者は、よりよい条件の市町村を

 もとめて遊牧民のように移動を繰り返した。



 …こうして改革は大成功したように見えたのだが…

 市民には今一つ評判はよろしくないようだ。


「なぜですか?これ以上の最低限はないですよ!」

「そんなわけあるか?

 普通に働いても、連中と大差ない者もいるんだ。」

「そんな…私には信じられません。」

「そりゃそうだろうな。」


 市民の答えは実に簡潔だった。



「そもそも…高給取りの公務員が考える最低限は…

 一般市民の考える最低限とは違うんだよ。」

「そう…でしたか…」

「だから最低限度は市民が決める。

 役所はその意見にのっとって運用を決めてくれ。」



 …こうして市民の視点を入れた生活保護は…

 これまで以上に最低限をきわめた。

 最低限度のカロリーで生かされるだけの生活…

 これ以上の生活は確かにないだろう。


 …結果…

 生活保護の受給者はほとんどいなくなった。

 働かざる者食うべからず…

 この考え方が世間に浸透したからだ。


 そして在日●国人は祖国に帰り…不正受給は

 まったくなくなった。

 彼らを票田にしていた政治屋も姿を消した。

 これらは…公務員では不可能な改革だったのだ。



 とりあえず自治体の財政は大幅に改善したうえ、

 本当に必要な人は本当に最低限の生活を保障され

 餓死者もなくなった。

 

 まぁいろいろ問題はあるようだが…


 めでたしめでたし。

 …で、いいのだろうか??

 

保護費の削減…

財政再建の切り札にどうですか?


ま、ムリでしょうけど…。

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