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016-高速レジに並ぼう

レジでイライラした経験は誰にでもあるはず。

でもそれ…何が原因??

 ピッ、ピッ…


「854円になります。」

『えーと…ちょっと待ってね…』

「…」


 まただ。

 レジで会計を終えてから財布を取り出すオバチャン…。

 しかも…その動作が信じられないぐらい遅い。


『えーと…1円玉出すね…。一枚…二枚…』


 …後ろに並ぶ人のイラつきが誰にもわかる。

 なぜその張本人だけが気づいていないのだろう??


『ゴメン。。三枚しかなかった。』

「ではお会計を…」

『ちょっと待って…そのレジにある電池を…』

「…これですか??」

『えーと…どっちにしようかな??』


 …隣のレジでは自分の後から並んだ人が次々と会計を終える。

 まったく…迷惑な人は世の中にいくらでもいるもんだ…。



「…なぁこの問題どう思う??」

「どう思うって言っても…しょうがないだろ。」

「でもさ、専用レジって結構あるんだぜ。

 何点以下の買い物専用とか、梱包を必要としない客用とか…」

「じゃあ、スムーズな客専用のレジがあればいいのかな?」

「…なるほど。うちの店でそれ、導入してみようかな。」



 …というわけで…ある大型店で様々な専用レジができた。


 ・会計前に財布の準備ができている客専用。

 ・会計金額を事前に計算できている客専用。

 ・レジに並んでから追加注文しない客専用。

 ・レジ係に袋詰めを求めない客専用。


 …などなど。

 そもそもが実験用の企画なので、いろんなレジができた。



 その評判は…上々。


 後ろに並ぶ人の待ち時間を考えられる客だけのレジ。

 ものすごくスムーズだ。

 ほとんどの客はこぞって最速のレジを選ぶ。


 …だがこのレジでは客はグズグズできない。

 少しでも会計に手間取る客には容赦ない罵声が飛ぶ。

 やがて少しずつ専用レジは淘汰されていって… 



「それで…結局どうなったんだ??」

「ああ、専用レジは一年ほどで廃止されたよ。」

「なんだよ。それじゃ元に戻ったのか?」

「いや…そうでもないさ。」


 見ると…レジの流れは一年前に比べて見違えていた。



「どういうことだ??」

「どうもこうも…結局はすべてのレジが高速なったんだ。」

「…なぜそうなった??」

「店員の意識が変わったのさ。目の前の客と同じくらい、

 後ろに並ぶ客を大事にするようになったんだ。」



 …そういうことか。


 店員が目の前の客と、後ろの客を同等に扱えばいいんだ。

 そうすれば後ろの客への素早い対応が心がけられる。

 そんな店員の態度こそが、他人の迷惑を顧みない客への

 無言のプレッシャーとなり…。

 …いつしかレジ全体が高速になったんだ…。



「おかげで客も増えたよ。同じ時間で多くの客を捌けるから。」

「だろうな。客の満足度も上がっただろう。」

「ああ。客数が増えた分は値段に還元できるから安売りができる。

 レジの待ち時間短縮は、客にとってもメリットだからな。」



 …やがて、多くの店がこのやり方をマネるようになった。

 そしていまや、高速レジは世間の常識となりつつある。



 ピッ、ピッ…


「854円になります。」

『えーと…ちょっと待ってね…』

「待ちません。あちらの低速レジに並び直し下さい。」

『ええっ!?…私は客だよ!?』

「次のお客様きゃくさまが優先です。」

『…』



 …今日も客の流れはスムーズだ。


コンビニのとある客を見て思いつきました。


会計後にレジ横の惣菜を注文して、箸をつけるかの判断に迷い、

そのあとで煙草を注文して…その銘柄に迷い…

それを終えてやっと財布を取り出し…それもスムーズにできず…

さらに一円まで出そうとして一枚足りなかったオバちゃん…。


…ちなみにその後、店員にレジ袋に詰めてもらったのに、

気に入らないって詰めなおさせてたな。


後ろに並んでた人…可哀想に…。

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