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015-百獣の王バッファロー

ちょっとだけブラックです。

動物たちのお話のようで実は…

「くそ…また食われた…」

「うちの子もやられたよ…」


 嘆いているのはバッファローたちだ。

 今日もライオンに仲間を食われたのだ。


「…悔しいな。何故いつもやられるんだ?」

「仕方ないだろ。相手は百獣の王だぞ。」

「何が百獣の王だ。一対一なら負けないぞ。」

「滅多なこと言うなよ。相手は…雌だぞ…。」

「うるせぇ!肉食獣相手に雄も雌もあるか!」


 …確かにそうだ。

 このままではまた仲間が食われる…。


「じゃあどうするんだよ?」

「ああ。目には目を、歯には歯をだ。

 相手が俺らを殺すのなら…そうするまでよ。」


 

 …翌日…

 七頭ものライオンの群れがやってきた。

 しかしバッファローは…まったく怯まない。


『…どうなってるの?

 草食獣たち…いつもと様子が違うよ。』

『いいのよ。何もできやしないって…』



 だが…その甘い読みは外れた。

 戸惑うライオンに突然、大柄なバッファローが

 突進して体当たりを食らわせた。


 さらに数頭のバッファローが続き、ライオンは

 袋叩きにされた。


『何するのよ!草食獣の分際で…』

「うるせぇ!仲間の…子供たちのかたきだ!!」


 …すかさず一頭のライオンが助けに入ったが、

 これもバッファローに読まれていた。

 助けに入ったライオンも同じ目にあわされる。


 一対一ではライオンよりも強いバッファローが

 数の上でも圧倒しているのだ。

 …バッファローが本気になれば…勝負にならない。


 さらに逃げ遅れた一頭が巻き込まれ…

 あっという間に三頭のライオンが命を落とした。


『何という酷いことを…』

「ふん。お前たちがいつもやっていたことだろう。

 これだけ肉があればで当分食料に困らないはずだぜ。」

『…百獣の王にこんなことして。…ただで済むとでも?』

「へん、何が王だ。これが弱者の運命じゃないか。」



 …そしてライオンはすごすごと引き上げていった。

 その後、同じようなことはあちこちで起こり…

 ハイエナも…ヒョウも…オオカミもやられた。

 肉食獣は急速に食糧難になった。



 …それからしばらくして…

 バッファローは新たな≪百獣の王≫を名乗っていた。

 しかし数が増えすぎたバッファローも食糧難で…。

 

「おい。そこの草食獣!百獣の王に食料を譲りなさい!」

「誰の許可を得てそこの草を食ってるんだ??」


…などといつものように傲慢にふるまっていたのだが…



「おい。貴様!百獣の王に食料を…」

「おいおいお前ら…あまり調子に乗りすぎだぞ…」


 …振り向いた相手は…象だ。

 何ということを…

 まがうことないサバンナ最強を相手に…。

 …結果は…言うまでもない。



『ふん。象に喧嘩を売るなんて命知らずね。

 いつかの仲間のかたき…討たせてもらうわよ。』

「く…ライオンか。負け犬の分際で…何しに来た?」

『何言ってるの。そんな瀕死の重傷で…

 あなたの言った通り、これが弱者の運命なのよ。』

「ちっ…その通りのようだな…」



 …こうしてバッファローはライオンに食われた。

 その後、同じようなことはあちこちで起こり…

 ハイエナもヒョウもオオカミも…えさにありついた。

 


「なぁ…俺らのやったことは…無駄だったのかな?」

「…かもな。まぁ簡単に秩序は変えられないってことだ。

 結局、俺らも奴らも…みんな飢えただけじゃないか。」



 …その通りだ。秩序は簡単には変えられない。…でも。


「…悔しいな。もう少しで百獣の王になれたのに…」

「フン。そんなことどうでもいいじゃないか。」

「よくないよ!俺らのプライドはどうするんだよ??」


「いいよ。だって一番強いあいつは…

 自分の強さを触れ回ったりしないじゃないか。」



 …その通りだ。

 本当にプライドがあるなら…虚栄心は捨てないと。

 …それが生きる術なのだから。



誇り高いことと、無駄にプライドが高いこと。

全く違いますからね。

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