010-映画みたいな人生を送りたい人送りたくない人
人生の選び方についてです。
ちょっと考えてみましょう。
「この結婚式、待ったぁぁ…
花嫁を連れ去りに来たぞぉ!!」
『お願い。連れ去って逃げてぇ…』
…安物の映画を見ていた安物のカップル。
だけど彼女は…この映画に感動したみたい…
『ねぇ…あなたならこんなことできるぅ?』
「この主人公みたいなことか?…無理だな。」
『なんでぇ?私のこと、愛してないのぉ?』
「愛してたら…絶対に無理だな。」
…彼女は彼氏の言葉をわかっていないようだ。
「いいか。このシーンで男はまだいい。
だが女はこの後、どうなるか考えてみろよ。」
『…幸せになるんでしょ。』
「バカだな。花嫁の両親は信用ブチ壊しだぞ。
…今の家には住めないし…職も失うかも…。」
『でも…それが娘の幸せのためなら…。』
「バカ。職を失った両親には賠償責任もあるんだ。
親族も友人も誰も助けてくれないだろう。」
『でもそれは両親の問題でしょ。』
「…主人公たちも同じさ。
見知らぬ土地で、誰にも頼らず生きるしかない。
おまけに彼氏は仕事も捨ててるはずだ。」
『じゃあ…この娘は不幸になるの??』
「…まず間違いなく…全員が不幸になる。」
…彼女はそれ以上何も言わなかったが…
…あまり納得していないみたい…
その翌週も…カップルは安物の映画を見ていた。
「世界中を敵に回しても…俺はキミを守る!」
『お願い。私を守って…!』
彼女は…この映画にも感動したみたい…
『ねぇ…あなたならこんなことできるぅ?』
「…できないな。それ以前に…しないな。」
『なんでぇ?私のために世界を敵に回せないのぉ?』
「愛する人を守るためだったら…
どんな手を使っても、世界を敵には回さない。」
…彼女はそれ以上何も言わなかったが…
…あまり納得していないみたい…
その翌週も…カップルは安物の映画を見ていた。
『キャー!!助けてぇ!!』
「助けに来たぞ!!もう大丈夫だ!!」
彼女は…今日も映画に感動したみたい…
『ねぇ…この主人公、カッコいいと思わない?』
「別に。むしろカッコ悪いよ。」
『なんで?彼女の危機に颯爽と現れたんだよぉ。』
「いくらでも危機を回避するチャンスはあったのに
ピンチになってからノコノコ参上するなんて…
この主人公…マヌケにもほどがある。」
…さすがに彼女は怒った。
自分の意見を三週も続けて否定されたから…
『何よ!あなたは私を助けたくないだけでしょ。』
「そんなわけないだろ。
彼女を危険な目にあわさないのが彼氏の役割だろう。
ならば何も起こさないのが最高じゃないのか?」
『そんなの…つまらないよ!』
「ピンチにならないと彼氏の有難味もわからんのか?」
『わからないよ。そんな彼氏なら…要らないよ!』
「信じられないバカ…こっちから願い下げだ!」
…こうして二人は別れた。
彼氏はその後、凡庸な女と凡庸な家庭を持った。
…危機を事前に回避するから、妻を守る機会もなかった。
彼女はその後…破天荒な男と波乱万丈の人生を歩んだ。
…守られる機会も多かったが…それ以上に危機の連続だった。
…はたして…どっちが幸せな人生なのか。
それはあなた自身が選ぶといい。
「危機を事前に回避する」=「守ること」だと作者は思ってます。
あなたはどうですか?




