12 国王瀬田良平に謁見する_02
* *
斎木さんの運転する車両は、商業街区で混雑した中をのろのろと進んでいく。
その斎木さんは、こちらから見て、特に表情を出している感じでもなく、……。
おやぁ? と、私(英子)は思った。
だって、以前トラヴィス伯爵の領都で、住人達が集まってきたら、斎木さん、かなり苛ついていた感じだったのに。
でも、今はそんなでもなく、……。カーラジオのCDで流しているフリージャズの音楽に、軽く興じている感じだったから。
「斎木さん、……。もしかして、王都にきて、結構ご機嫌だったりします?」
「……、まぁそうですな! 王都はいいですよ!」
「やはり、ここが日本の生命線だからですかね?」
ちょっと、深掘りした質問を入れてみた。
何というか、このまま表面的な関係、綺麗ごとだけで終わってはいけないと思ったから。
「おやぁ? 英子さんも、なかなか仰るようになりましたな?」
「はぁい。私にとっても、ここが生命線ですから!」
「……、なるほど」
「はいっ!」
「……」
すると、斎木さんはそこからしばらくの間、黙ってしまった。
こちらとしては、特に気マズいワケでもなく、これがデフォルトだったので、……。
特段、気にするでもなく、夕暮れ時の喧騒の街の風景を、フリージャズの音楽に沁みながら、しばらくぼんやりと眺めていた。
「先ずは、無事英子さんを王都まで連れてくることができました」
えっ!? 今、斎木さん何て言ったの?
斎木さんの方にしばらく意識を向けていなかったから、聞き漏らしてしまった。
「今、何か仰いましたか?」
こちらから訊ね返すと、斎木さんは少しだけ眉間に皺を寄せて、……。
「英子さん、これからあなたが向かうのは王宮だ。王宮では様々な言葉が行き交い、その多くが耳に障る内容のものだったりします。でもね、これまでのように聞き漏らしたことで、大きな損失を被ることもあり得るのです。それだけは、覚悟して下さいね!」
「……、はい」
おそらく、これまで斎木さんが貴族達のところに寄ってきたのは、私に実地でこの世界の権力者達に触れさせる意味があったのではないか?
もしかすると、私の不備で命すら落としかねない事態すら発生するのではないだろうか?
斎木さんは、この世界の案内人であると同時に、私のメンターだ。
そんな斎木さんが、私をこうして心配してくれるのは、たぶんここまでだろう。
私が失敗すれば、そこで切り捨てて、……。しばらく後に、新しいクリエーターをここに連れてくる。
何だろう。松本零士の『銀河鉄道999』のメーテルが、星野鉄郎のような有意な若者を母星まで連れていく話と、どこか似ている気がする、……。
私はふと、ラジオを切った。斎木さんは、特に何も言わない、……。
商業街区を進んでいくと、まだ戦後復興期とのことなので、あちこちの建築中の建物からノミや槌の音が聞こえてくる。
「今は、職人を確保するだけでも大変な状況なんですな!」
「……、そうでしたか」
そんな街中を抜けて閑静なエリアになると、大きな公園があり、……。
そして、その先に目指す王宮があった。
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