11 トラヴィス伯爵邸にて_20
* *
「これで、よろしいのですかな?」
「えぇ、そりゃぁ、もぅ、……。トラヴィス伯爵、今後の貴殿とご家族の全てに渡る保障、王党派を代表してお約束致しますぞ!」
斎木さんはそう言って、満面の笑みを浮かべている。
すると、伯爵は「ふぅ――っ」とひとつ長いため息を吐いた。
「伯爵、……。今お渡ししたこちらのペンは、万年筆といいます。インクと共に伯爵にご進呈致しますので、よろしければ受け取って下さい!」
「おぉ、サイキ殿、……忝い!」
伯爵はそう仰って、お持ちになっている万年筆を嬉しそうに見つめられた。
「ところで、……トラヴィス伯爵。もし、仮にですが、……。伯爵やご家族の皆様が、先ほどご覧になられた日本の秘密を、他所にバラされたりしたら、……」
「「「「……」」」」
「その場合、とても、……非常に危険な事態に陥ることになります。それだけは、よくご理解頂けるとよろしいかと!」
「おぉ、もちろんですとも!」
一方では、ちゃんと脅しを忘れない。
すると、……。斎木さんがこちらをちらりと見てきた。
私(英子)がひとつ頷くと、斎木さんはグッと口を結んだままひとつ頷いてみせた。
なるほど、……と英子は思った。
斎木さんは、こうやって反王党派を引き抜くところを見せることで、今後のレクチャーをしているのだろう。
つまり、私自身同じ状況になった場合、今見たとおりにちゃんとやってね! って、ところなのだろうね。
とにかく、このサインさせた念書一枚で、これから王宮と日本政府が後ろ盾となる。
今後、トラヴィス伯爵家の皆様には、日本の秘密保持を徹底させるつもりのようだ。
「では、英子さん。せっかく、伯爵家の皆様が我々の陣営にお入りになられたのですから。いろいろとお訊ねになりたいことも、あるかと思います」
「そっ、そうですよね? 奥方様、お嬢様。何か私にお答えできることがあれば、お伝えすることもできると思いますよ!」
斎木さんに促されて、こちらから奥方様にお訊ねした。
すると、ご子息が「私も、構いませんか?」と仰るため、「えぇ、どうぞ、どうぞ!」といって、笑顔で促した。
「実はですね、……」
日本の政治体制から、近隣諸国との関係。日本の食文化や住居、観光名所について、様々に訊ねられた。
こちらからは、知る範囲でちゃんと嘘偽りなくお伝えしたところ、相手はとても驚いた様子で頷かれていらっしゃった。
ちらりと見ると、斎木さんがニッコリと微笑み返す。
どうやら、これで間違いなかったようだ。
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