11 トラヴィス伯爵邸にて_17
* *
「英子さん、……。そちらは女性同士、大いに盛り上がりましたかな?」
「えっ!?」
いつの間にか斎木さんが私(英子)の真後ろにいて、そんな風に声をかけてくるものだからさ。
思わず、声が出ちゃったよ。
すると、……。
斎木さんは、トラヴィス家の奥方様とご息女の方をちらりと窺った。
お二人はうっとりとした表情を浮かべられて、先ほどお渡しした真珠の製品を食い入るように見つめ続けられている。
その様子を瞬時に観察すると、……。斎木さんはニッコリと笑みを浮かべた。
うわっ!? この人、相当なワルだねっ!
思わず、そんな気持ちで斎木さんを見ていると、……。
斎木さんはこちらを向いて、「あなたもでしょ?」と口パクで言うと、ニッコリと微笑んでくるんだよ。
いやいやいや。私は、そんなつもりで真珠の製品をお渡ししたんじゃないよ。
それに、奥方様にお渡ししたネックレスのケースには、日本の真珠の有名なブランド名が記されているけどさ。
そのブランドって、私の下宿先からほど近い、池袋のデパートにもそのテナントが入っていてさ。
たまに店を覗いていたから、大体の価格なんてこっちも把握しているんだよ。
奥方様のネックレスが60万円、お嬢様のイヤリングがセットで2万円。そんなに目が飛び出るほどお高いモノでもないんだからね。
まぁ、……。私は当時貧乏だったから、向こうの葡萄は酸っぱいと思いながら、それら製品をただ眺めていただけだったんだけどね。
さて、……。斎木さんの方は、首尾はどうだったのだろう?
斎木さんは、いつもよりも若干笑みの量が濃い感じで、……。
ちらりと奥の席の伯爵の様子を窺ったら、何だか少しだけ猫背になって俯いていらっしゃる感じ、……。
「伯爵からは、王党派参加の件、快く受け容れて下さいましたぞ!」
何だか、矍鑠としたご老人が「かっかっかっ!」とお笑いになる、あの雰囲気とちょっとだけ似ている気がした。
「ふふふっ」
「どうされましたか、英子さん?」
斎木さんは、ご自身の実年齢がその仕草に図らずも現れたことに気付かない様子で、こちらの表情を不思議そうに見つめてきた。
「何とか、上手くいきましたね!」
「えぇ、全くですな!」
そう言って、お互いにニッコリと笑い合った。
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