11 トラヴィス伯爵邸にて_13
* *
たはははっ、……。
私(英子)ってば、さっそくやらかしてしまいましたか、……。
それで、こちらから日本語の口パクで、「マズかったですかね?」と斎木さんに伝えたところ、……。
「まぁ、……英子さんですから」
そんなことを、日本語ではっきり言うんだよ。
エ――ッ、酷くない?
「エイコ殿、……どうされましたか?」
すると、トラヴィス伯爵がこちらのやり取りに対し、実に興味深そうな顔で訊ねてこられた。
「いっ、いえ、……。このほろほろ鳥のソテーって、とっても美味しいですね。こちらの領に住まわれている方が、正直羨ましいです!」
「ありがとうございます。日本の方にそう言って頂けると、生産者達も励みになります!」
「……」
とりあえず、スマイル、スマイル、……。
地球産の手土産が功を奏したのか、今のところ大いに歓待を受けている。
でも、一体何の目的でわざわざ邸まで呼び付けたのか、……。
そろそろ、話を伺ってもいい頃かなぁと英子は思った。
すると、……。
「トラヴィス伯爵、……。本日、我々をこちらにお呼び出しされたワケを伺っても?」
斎木さんが、ゆっくりと穏やかな口調で、そう切り出してきた。
そうしたら、伯爵は先ほどまでの笑顔とは打って変わって、真面目な顔に変わった。
「私もですな、……。王党派に入れて頂ければ、……。と、思いましてな!」
なるほど。直球には直球で返してこられたか。
「いいですねぇ。我々は貴殿が加わることに、大いに歓迎致しますぞ!」
斎木さんはそう言って、ニカリと笑った。
あっ、こんな表情も斎木さんはするんだ。
思わず、じっと見ていると、……。
斎木さんが現地語で、「英子さん、これから出番ですが、よろしいですか?」と訊ねてきた。
「……」
はて、……。出番とは?
こちらが、不思議そうな表情でもしていたのだろう。一瞬、斎木さんは苦笑いを浮かべた。
「エイコ様、……。日本では皆、女性はあなたのように美しくていらっしゃるの?」
そうしたら、奥方様がそうお訊ねになられてきた。
何だか、ここで私が「はい、皆さん私同様に綺麗ですよ!」なんて言ったら、……。
まぁ、……人として、それはさすがにマズいだろうから。
「奥方様は、日本の化粧にご興味はございますか?」
そんな具合に、事前研修で散々スマイルを練習させられた、その成果を発揮したよ。
「まぁっ! まぁっ、まぁーっ!? よろしいんですのっ!?」
えっ!? ちょっと、ノリが良過ぎない?
「はいっ。奥方様にお会いして、……。私、思ったんです。あぁ、この方は日本のお化粧がとても映えるのではないかと!」
別に、お世辞やおべっかでそんなことを言ってるんじゃないよ。
純粋に、奥方様やご息女の顔の造形が整っているなぁと思っただけだよ。
「英子さん、……。我々男性陣はこれから大事な話をするから、女性は女性同士で盛り上がって頂けますかな?」
斎木さん達は、先ほど手土産で渡したウイスキーで、これから盛り上がるみたい。
「では、私達はこちらで楽しみましょうか?」
そう言って、持参した布袋に入った化粧道具を見せると、奥方様とご息女の表情がパァーッと明るくなった。
ではでは、……。
英子は恐縮しつつ、先ずは奥方様からメーキャップを始めた。
慣れた調子で行っていると、女子陣は次第に大騒ぎになっていった。
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