11 トラヴィス伯爵邸にて_12
* *
前菜の後、メインディッシュに、ほろほろ鳥のソテーの載った皿が並べられた。
おほっ、美味そっ!
私(英子)はちょっと感激しつつ、その湯気の立つ皿をじっと眺めた。
「エイコ殿、ほろほろ鳥はトラヴィス領の特産でしてな。その身は旨味が濃くて、ほろっと柔らかいのが特徴なのです!」
「ほほぅ、そうでしたか!」
こちらがニコリと笑うと、伯爵は少しだけ頬を赤くさせた。
さて、……。
ちらりとテーブルの他の席を見ると、伯爵のご家族は既に皿に手を付け始めていた。
斎木さんも同様にフォークで口に運んでいるところだったので、こちらもさっそく手を付けてみようと思った。
なるほど、……。ほろほろ鳥の身にナイフを立てると、すぅーっと入っていく。
柔らかぁ~い。それだけで、もう癖になる感じかも。
さっそく口に運んだところ、その身の柔らかさが、じわぁ~っと頭の隅々に沁みる感じがした。
「美味しぃ、……!」
思わず、言葉が漏れてしまった。ちょっと感動してしまったよ。
そんな具合に脳内食レポを終えたところ、……。
ふと、周りからじっと視線が注がれているのを感じた。
ん~~っ? ちらりとこちらからも窺うと、……。
「!?」
奥方様だけでなく、ご息女も興味深そうな顔をして、こちらの食べている様子をご覧になられていたのだ。
「エイコ様は、ホンと美味しそうにお食べになるのね?」
奥方様が、さも感心したように、そう仰られた。
「いえ、ホンと、このほろほろ鳥のソテーって、絶品ですよね!」
そう、こちらも素直に思ったままに感想をお伝えしたら、奥方様は「まぁっ!」と仰ってお喜びになり、両手をポンと打ちなさった。
「エイコ様も、日本からお越しになられたのでしょ? 向こうでは、もっと美味しいものを食べてらしたのではありませんか?」
ご息女が、興味深そうな表情を浮かべながら、そうお訊ねになられた。
「いえいえ。私がいたのは、日本の首都東京でしたが、……。これほどの料理はなかなか食べられませんでしたよ!」
「へぇーっ、東京からこられたのですか? 私、とても興味がありますっ! 人口が1200万人を超える大都市と伺いましたが、……」
「はいっ!」
こちらの言葉に、ご息女とご子息が「わっ、凄いっ!?」とお喜びなさった。
あれっ!? もしかして、私ってさっきから日本の情報について、べらべらと喋っちゃってる?
イヤな予感がして、おそるおそる斎木さんの方を見ると、……。
彼は、ただニッコリと笑い返すだけだった。
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