11 トラヴィス伯爵邸にて_10
* *
それにしてもさぁ、……と私(英子)は思う。
一芸が身を助けるってことが、実際にあるんだなぁって話だね。
元々、私は絵描きの経歴を買われて、異世界のヤムント国に派遣されることになった。
でもまぁ、……。本来なら、それ以外の活動はほとんど期待されていなかったんだろうなぁと思うんだ。
一方で、私はそこそこ化粧スキルが高くてさ。
それがどうやらここ異世界では、大いに役に立つスキルみたいなんだよね。
何しろ、これまで斎木さんには、ずっと世話になりっぱなしだったからさ、……。
ここらで少しくらい、恩返しができたらいいなぁって思うんだよ。
「うふふふっ」
「英子さん。では、バルディ男爵家に引き続いて、トラヴィス伯爵家でもお願いしますね!」
「はいっ、了解ですっ!」
何しろ戦闘ではからっきしだったから、この化粧スキルで挽回したいかも。
「トラヴィス伯爵は反王党派の主要メンバーではありますが、先ずは彼に工作を仕掛けようと思います」
「工作……、ですか?」
「えぇ。今回のトラヴィス家からの招きに応じることで伯爵の心象を良くし、反王党派の一角の切り崩しにまで持っていければと思います!」
「……、了解です!」
ふむ、……。切り崩し、……か。
「今回、せっかく向こうから呼び付けてきたのですから、……。このチャンスを、存分に活かしたいところではありますな!」
そう言って、斎木さんはニヤリと笑った。
なるべくなら、私からも斎木さんの工作活動の後押しをしたいところなんだけど、……。
でも、相手はこの異世界の有力貴族で、決して油断のならない相手のはず。
そもそも前日の男爵家とは位が違うのだから、ミスったりして付け込まれるようなことだけは、絶対やってはならないと思う。
すると、……。
「ほらほら、英子さん。もっとリラックスですよ!」
「えっ!?」
「眉間に皺が寄っていますぞ!」
「えっ!? えぇっ!?」
思わず、眉間を指の腹でなぞってみたのだけど、……。
でも、そんなに言うほど、皺が寄っていなかったんじゃないかなって気がする。
「本日は、あくまで挨拶程度で問題ありません。ですから、そんなに肩肘を張らずに、いつもの英子さんらしく振舞ってくれれば、それでもう十分ですぞ!」
「……、了解です」
とほほ、……。何だか、かえって斎木さんに気を遣わせてしまったかも。
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