11 トラヴィス伯爵邸にて_08
* *
「実はですな、……。私は、このヤムント国ではちょっとした有名人で通っているのですよ!」
トラヴィス伯爵邸に向かう途中、馬車に揺られながら、斎木さんは日本語でそう言った。
「有名人? 斎木さんが、……ですか?」
私(英子)のその表情が、何とも不思議そうに見えたのだろう。斎木さんは、少しだけ苦虫を噛んだような表情を浮かべると、……。
「まぁ、私は新国王の腹心を務めておりますからな!」
そう言って、斎木さんは静かに笑った。
「新国王って、以前お話しされた、瀬田良平さんのことですよね?」
「えぇ、そうです。彼は、かつての私の上官でした」
「……」
以前聞いた話では、2人は旧軍の同じ部隊の上官と部下という関係で、……。
そうなると、今の日本は1999年の11月より少し前だから、……。
もうかれこれ、半世紀近く関係が続いているということになるのかな。
「瀬田中佐は、現在王都の王宮におりますので、……。とりあえず現地に到着後、英子さんは直ぐに彼に会って貰うことになります」
「了解です」
「いずれにしても、ここヤムントの貴族達は、我々異世界の日本人に対して、強い関心があります。今回もトラヴィス伯爵が我々に会いたがったのは、その点だと思いますよ!」
なるほど、……。
斎木さんの話だと、やはりヤムント国の貴族達からしたら、異世界からやってきた日本人の齎す技術とか物資だけでなく、遠い異国の話にも強い関心があるような気がする。
「やはり、彼らは斎木さんに、遠い異国の話を聞きたがっているのではないでしょうか?」
「ふむ、……。英子さんの、その発想はとても斬新でクリエイティブで、……。何とも頼もしい限りですな!」
「い、いいえ。斎木さんのお話しを伺ったことと、それとバルディ男爵邸で皆さんのご関心が、やはり日本にまつわることの方が、ずっと大きかったものですから、……」
「……」
すると、……。こちらの言葉に対し、斎木さんは特に返事をしなかった。
でも、何事か考えがあるようで、……。しばしの間、思考を巡らせている様子だ。
「英子さんには、予め伝えておきます。トラヴィス伯爵は、実は反王党派に属している人物でしてな!」
「えっ!?」
伯爵の用意した馬車に乗った時から、これまでず~っと日本語のみで会話を続けてきた。
だから、結構2人の間では際どい話もしてきたのだけど、……。
おそらく御者も使いの者も、こちらが何を話しているのかまではワカらないだろう。
それに、斎木さんが馬車に乗る際に、一度部屋に戻ってから、アタッシュケースを持って現れたんだけど、……。
さて、……。中身は、一体何が入っていることやら、……。
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