11 トラヴィス伯爵邸にて_02
* *
「では、お伝えします。英子さんの、このヤムント国で求められている役割は、……。この度王立学校に新設されることになる、『絵師養成コース』の教師を務められることです!」
「『絵師養成コース』ですか?」
斎木の言葉に、私(英子)は思わず訊ね返していた。
「えぇ、そうです。現在ヤムント国には、絵師の数が絶対的に足りません。それは、宮廷絵師だけでなく、事件や事故、ありとあらゆる事象を記録するために、絵師を必要としています」
「なるほど、……」
「王立学校は、本来貴族の子女のみが入学を許されておりましたが、……」
ここで、斎木はちらりとこちらの顔を見て、「そうですな、……」と続けた。
「……」
何だろ、今の間は? と、英子は少しだけ疑問を持った。
「その、……これからは、平民のお子さん達も王立学校が受け持つワケですね?」
「えぇ、……。まぁ、有体に言えば、……そうです」
「……」
あれ? 何だろう? 斎木さん、いつもよりも歯切れが悪いような気がする、と英子は思った。
「英子さんには、現地スタッフと共に、学生達の養成をお願いします!」
「了解です。私は、中学生の美術科目の教職資格を持っていますし。美術予備校でもチューターの仕事を何年もしておりました!」
「ふむ」
「ですので、絵を教えるのはお手の物です!」
そう言って、軽く腕を絞って力こぶを作ってみせると、……。
「ほぅ、……。それは頼もしいですな!」
斎木もそう言って、ニコリと笑った。
でも、……。私は知っている。
斎木さん達、異世界行きのスタッフ選定メンバーは、私の過去の経歴をず~っと前から調べ尽くしていた。
時には外部エージェントが私の傍に配置されていた、そんなことも話してくれたので、……。
その話から推察すると、あの人とあの人は、おそらく外部エージェントだったのかもしれないなぁと予想が立つ。
多分、親友の緑子も、そんなエージェントの一人だったんだろうね。
「……。とまぁ、ここヤムントでは、ざっと以上ですな。よろしいですか、英子さん?」
「はっ、はいっ。すみません、……。後の方、少し考え事をしてて。ちょっと聞き漏らしてしまったかもしれなくて、……」
「……、ふぅ~っ」
あっ、斎木さんにため息吐かれちゃった。
これはマズったかもと思い、英子は少しだけ顔を顰めた。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
英子の作家魂や、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!
この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!
英子と一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!✨




