10 深夜の抗戦_12
* *
とりあえず、……。何とか、斎木とは和解できた気がする。
パジェロでの次の目的地までの移動中、私(英子)は助手席にずっと座っていて、かなり居心地が悪かったからね。
さて、……。まぁ、こんな感じかな。
英子は、午前中に脳裏に焼き付けていたゴブリンの死体や、ホブゴブリンの死体の構造を理解すべく、再び念入りにデッサンを始めていた。
傷口から噴き出た血の色が何色で、濃緑色の皮膚の表面に浮き出た血管の様子は、一体どんなものか。
腕や足の長さ、手の大きさがどのくらいか。手の指は何本で、同じ2足歩行をする人間との違いは何か。
そんなことを思い出しながら、スラスラとクロッキー帳に描写していった。
すると、……。
「車の運転中に下向いて絵を描いていたら、酔ったりしませんか?」
斎木がハンドルを握りつつ、何となくこちらに視線を送りながら訊ねてきた。
「大丈夫で~す! 私、絵を描いていると、集中しちゃいますから、へっちゃらなんです!」
「ふむ、……。そうでしたか」
「はいっ!」
再び斎木は運転に集中したのか、それからは特にこちらに話しかけることもなく、時間が経過していった。
よしっ。まぁ、ゴブリンはこんなものかな。
英子はそう思いつつ、車窓に流れる風景をじっと眺めた。
新緑豊かな林を抜け、田園が広がりつつあった。
どこか、街か村か、……。人のいる気配が、段々と強くなってきたような気がする。
「斎木さん、……。もうそろそろ、次の目的地に到着しますか?」
すると、斎木はちらりと車両のトリップメーターの数値を見てから、……。
「う~ん、そうですな。ここからだと、まだ、……50キロはあると思いますよ」
「……。なんか、さっきより田園が広がっているようなんですけど」
こちらが、ちらりと車窓から見える耕された畑の様子を見て言うと、斎木も「そうですな」といって、ひとつ頷いた。
「……」
再び、斎木は黙って運転に集中し始めた。
こちらは道をまるで知らないのだから、邪魔してはマズいだろう。
英子はそう思って、再びデッサンに集中した。
こちとら、完全記憶能力の持ち主だよ。だから、昨晩の精神力をぎりぎりまで削るような戦闘シーンを、全くブレずに覚えているし、……。
ならさっそくと思って、とりあえず強く印象に残ったところを、その記憶能力を駆使して描き続けた。
マギー、結構かわいかったなぁ。
ホンと健気に、精神的にもかなり追い詰められていたはずなのに、……。
邸の中庭まで飛び込んできたゴブリンを、力いっぱいフライパンで引っ叩いたりしちゃってさ。
うふふふ。またいつか会って、ゆっくりとお茶でもしたいなぁと英子は思った。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
英子の作家魂や、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!
この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!
英子と一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!✨




