10 深夜の抗戦_10
* *
初夏を思わせる午前中の大気は、まださほど暑くはなかった。
草原を涼しげな風が吹き、私(英子)の長い黒髪が少しだけ揺れている。
先ほどより男性陣の多くが、倒壊した2階建ての建物くらい大きい、そのホブゴブリンの死体の上に次々と乗り移ると、……。
全身 隈なく巻き付けられた無数のジュエリーを、目の色を変えて剥ぎ取っていった。
「ふぅ―――っ」
しばらくの間、その様子をこうしてスケッチしていたのだけど、……。
まぁ、大体こんなものかなぁと。
5枚ほど描いていたら、ある程度満足しちゃったかも、と英子は思った。
すると、……。
さっきからずっと、傍らで斎木とバルディ男爵が、2人して妙に雰囲気のあるロングソードを構えたり、刃先をじっと眺めたりしていた。
「ほぅ、……。これは業物ですな!」
「えぇ。どこぞの、さぞや名のある剣匠の鍛ったものでしょうな!」
どうやら、ホブゴブリンの身体に巻き付いていたものの中に、このロングソードも含まれていたらしい。
「へぇ―――っ、戦利品ですか? 刃先が凄い綺麗な剣ですね?」
思わずこちらも話に加わると、男2人から笑みがこぼれた。
「ほぅ、エイコ殿も、これの良さがおワカりになられるか?」
そう仰って、バルディ男爵がこちらの表情をじっと見られた。
「い、いえ。何かキラッとして、見た目がいいものですからっ!」
「ふむふむ、……。大体その認識で間違いありませんぞ! 何しろ、このソードは魔気を多分に含んでおりますからな!」
「魔気、……ですか?」
そう言えば、研修でそのようなワードも習っていたっけ。
何でも、永らく魔物が身に付けていた武器の中には、その魔気を大いに取り込んで、業物になるってことだったけど、……。
「そう。このソードも、元々素性のいい素材の上に、ホブゴブリンの魔気を大いに含んでおる。いわば、魔剣といってよろしいでしょうな!」
すると、男爵はそのロングソードを斎木に預けた。
「バルディ男爵。このソードを、私が受け取っても構わないのですか?」
「えぇ、当然の権利です。ホブゴブリンは、サイキ殿が仕留められたのだ。ならば、この剣は貴殿が所有されるべきだと思いますぞ!」
「……、ふむ。ならば、頂きましょう!」
斎木はそう言って、おもむろにロングソードを構えると、……。
「いぃっ、やぁぁ―――っ!!」
直ぐ様、一の太刀、二の太刀が、……。その場で軽やかに空を切った。
「お見事っ!?」
その流れるような剣 捌きに男爵が感嘆の声を漏らす中、こちらも思わず感心して、自然と拍手をしてしまった。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
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