10 深夜の抗戦_07
* *
「何なの、……アレ!?」
私(英子)は、思わずそう呟いていた。
身の丈4メートルほどのホブゴブリンが大きくジャンプすると、……。その着地の際に、地鳴りと共に辺り一帯が大きく揺れた。
バルディ男爵邸内に、無数の悲鳴が沸き起こる。
とてつもない巨体。身の毛もよだつようなその姿が、防壁の内側にいても露になったのだから、……。
「ウッギャアアアアアァァァ――――ッッ!!」
すると、ソイツは絶叫しながら、邸の防壁目がけて猛スピードで駆け込んでくる。
その様子は、中庭にいる私からは、防壁で外部の様子を見ることができないから、よくワカらなかったのだけど、……。
でも、防壁の上に立つ男性陣が大慌てになって叫び出したり、弓兵が矢継ぎ早になったり、……。
おまけに、ホブゴブリンの巨体がドスドスと強く地響きを立てるものだからさ。こちらまで、その振動が地面からダイレクトに伝わってくるんだよ。
そうしたら、中庭にいる女性陣にまで男性陣の余裕のなさが伝染しちゃって、……。皆、キャーキャーと喚いたり、真っ青な顔になってアタフタし始めたんだ。
だから、今さら奥方様が女性陣に発破をかけてもさ。
もう、誰もノッてこない感じ、……。
すると、……。そんなタイミングで……。
ターンという発砲音がひとつした。
数秒後、地鳴りと振動を伴いながら、防壁の向こうに大きく土煙が上がったんだ。
斎木さんから後に聞いた話だと、……。どうやらホブゴブリンの眉間に一発、いわゆるヘッドショットをして仕留めたんだそうだ。
それからしばらくの間、沈黙が続いた。
バルディ男爵邸の誰もが息を飲む中、その250名の意識がひとつになったところで、……。
「者どもっ、勝鬨を上げろぉぉ―――っ!!」
バルディ男爵の、空気を割いて天高く届くような絶叫の後。
「「「「「「「「「「うらあああああぁぁぁ――――――っっっ!!!」」」」」」」」」」
総勢250名の魂の雄叫びが、男爵邸の四囲を轟かせた。
ついに、ゴブリンの本隊を撃破することに成功したんだ。
歓声がいつまでも鳴り止まない中、その立役者である斎木さんが、ライフルを担ぎながらこちらに近付いてきた。
「無事でよかった!」
そう心配そうに、気を使った笑顔を向けてくれた。
「はいっ。斎木さんもご無事で!」
ここで、漸く笑顔を向けることができたと思った。
初めての戦闘だったけど、拳銃を使わずに済んでホッとしたし、何とか生き残ることができた。
そうしたら、……さ。斎木さんのことを、とても頼もしくて男らしい、……と。
何だか、恋心にも近い何かが湧いてきたような気がしたんだ。
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