10 深夜の抗戦_06
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腕時計を見ると、戦闘が始まってから、いつの間にか2時間が経過していた。
第一陣の雑兵のゴブリンを撃破した後、第二陣のゴブリンライダーの集団の攻撃も、男性陣の弓兵による射撃や斎木のライフル攻撃で全て鎮圧した。
残りは、総大将のホブゴブリンと数体のゴブリン達。今のところ、彼らに撤退の様子はないみたい。
そして、……この30分は、まさに小康状態になっていると言えるのかも。
「もう直ぐ朝になる、……」
私(英子)は、そう呟いた。
そろそろ遠くに聳えるフォルナ山の端から、太陽が少しずつだけど、上りつつあるのが確認できたからね。
「ふぅ―――っ」
思わず深く長いため息を吐くと、額の汗を手の甲で拭った。
幸いなことに、これまでに女性陣の中に負傷者は出ていない。
おそらく、奥方様のリーダーシップもさることながら、バルディ家の女性や子供達が協力して卒なく戦闘を行ったことが、最大の原因なんだろうなぁと英子は思った。
女性陣が構えている邸の中庭には、血の海に横たわる雑兵のゴブリンの無数の死体。
見たくないなぁと思いつつも、つい見入ってしまう。
しかも性質の悪いことに、私は絶対記憶能力の保持者だ。
この戦場の様子やその経緯が、ホンと手に取るように頭の中にイメージが焼き付いてしまうのだ。
日本でも戦時中に多くの従軍画家がいて、……。その人達は戦意高揚の目的で多くの作品を描いていった。
中には、現代日本人である私の目から見ても、その写実性も含めていくつも傑作があり、心を打たれることもしばしばあった。
今、私は戦場にいる。それがたとえ異世界のヤムント国であっても、その衝撃が私の心から離れることは、決してないだろう。
漸く人心地着いた頃、……。
今でも散発的に防壁の上からライフル射撃をする、斎木を見上げた。
彼は慣れた調子で次々と卒なく撃っていて、……。遠方からは、ゴブリンの断末魔の叫び声が、時おりこちらまで届いてくる。
ホンと、斎木さんって頼もしい人だと思う。
すると、……。
「ウッギャアアアアアァァァ――――ッッ!!」
ついに、ホブゴブリンと他数体が、……。大きく絶叫しながら、邸の防壁目がけて突進してきた。
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