10 深夜の抗戦_04
* *
刻一刻と、……。屋敷がゴブリンの本隊に包囲され、ジワリジワリと迫ってくる。
「……」
今の気持ちは、ただただ寂静。とても、言葉にはならなかった。
そもそもこれが小説や物語のお話なら、「来るなら、来やがれっ!!」とか息巻いて、周りを鼓舞することもあるのだろう。
でも、……さ。いくらそんな虚勢を張ったとしても、この圧倒的な現実の前では、ただの犬の遠吠えだと私(英子)は思う。
過酷な現実の前に、言葉など無意味なことこの上なく、……。
むしろ周囲にとっては、迷惑以外の何物でもないんだろうなぁと、英子は思った。
現在奥方様を囲む女子陣は、中庭の中央で男性達の防壁を突破された事態を想定しながら、陣形を保っている。
英子は、たとえどんな結果になろうとも、この現実をただただ直視しようと思った。
周囲に目を向けると、……。
鉄製の農機具の鎌とか鋤を持って、素振りをする者。ゴブリン達のいる防壁の先を震えながら睨み続ける者。
その防壁の上に立つ男性陣は、本職の弓兵が数名と槍兵が数名。ロングソードの騎士もいれば、男爵のご子息達はショートソードを持って構えている。
さて、……。ゴブリンの本隊は、一体どんな構成なんだろう?
そう思っていたら、物見やぐらから、弓兵が天空に向けて矢を番えると、……。
ひゅうっという音が、夜空を疾った。
すると、放たれた矢の先端に括り付けられた光魔石が、上空で炸裂して、次々と魔物の群れを照らし出した。
ここで、バルディ男爵邸内全てに対し、若い伝令役の青年が絶叫を開始する。
「ゴブリンライダー20数騎っ!! 雑兵のゴブリン、おそらく200以上っ!!」
その叫びに、英子の隣りのマギーがびくっと震える。
「……、一際大きいゴブリンッ、おそらく、これが本隊の総大将と確認っ!!」
おやおや、参ったわね。どうやら、大ボスまで照らし出されちゃったようで、……。
「最近、領内の村々を襲っているホブゴブリンで、先ず間違いないわね、……」
奥方様は顔を渋らせて唸っておられたのだけど、意を決したように立ち上がった。
「はいっ、皆切り替え切り替えっ! 敵の主力がワカったのだから、後は個別撃破よっ!!」
両手を打ちながら、ご自身を鼓舞されるようにそうお叫びなさると、……。
「「「「「「「「「「おぅっ!!」」」」」」」」」」
女性陣全員でそう応じて立ち上がると、右足で2回、地面をズンズンと踏み鳴らした。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
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