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魁!断筆姉さん!!  作者: 西洋司


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10 深夜の抗戦_03

   *         *


 先ほどより、斎木達が物見ものみやぐらに立ち、暗視双眼鏡で周囲の状況を見ている。

 こちらからは物見やぐらの斎木達の様子を窺うことができ、今のところ大きな動きはない。


 私(英子)は奥方様の指示に従い、とりあえず調理道具のフライパンを渡されると、他にすきや大鎌を持った女性達と共に、中庭の中央で待機した。

 

 傍らにいる女中のマギーが、先ほどからず~っと小刻みに震えている。

 でも、こちらから「しっかりして!」とか、「やればできる!」なんて言っても、むしろ逆効果だ。


 英子はお守り代わりにしている装備品の短銃を、ふところから取り出した。


 私にはこれがある。もし何かあっても、銃口を咥えて引き金を引けば、楽に死ねる。

 でも、ここに集まっている女性達は、奥方様ですら大鎌しか持っていないんだ。


 私なんて、射撃訓練はホンと形だけなんだよ。

 だったら、どうしたらいいのかなぁ、……と英子は思った。


「先ほどのゴブリン、……。やはり斥候せっこうなのですかね?」


 黙然としている奥方様に、こちらからそう訊ねたら、……。


「まぁ、……違ったら、それはそれで良かったんじゃないの!」


「……、そうですね」


 笑顔を何とかお作りになる奥方様に、こちらもホッとした表情を作って応じると、女性陣の中から「あぁ~~っ、ベッドでもっとグッスリしたかったなぁ~~っ!」と頓狂とんきょうな声で叫ぶ者が出て、思わず周りがくすくすと笑い始めた。


 なるほど。皆さん笑っているけど、……。ホンとは死ぬほど怖いんだね。


 とりあえず、バルディ男爵邸の防御の準備は全て整った。

 腕時計の時刻を見ると、夜中の3時30分を液晶盤の数字が示している。


 事前の研修では、魔物が一番活動的になる時間が、この時間というワケなんだけど、……。


 すると、……。物見やぐらに立つ斎木達に、動きがあった。

 そろそろかっ!? 胃の中に、冷たいなまりが入り込んでくるような緊張が増してくる。


「来たぞぉ―――っ、ゴブリンの本隊が現れたぁ―――っ!!」


 物見やぐらで、普段は召使いを務める若い伝令が叫んだ。

 それからも、次々とやぐらからは大声で深刻化する状況が伝えられ、英子の周りの女性達の中には、歯の根をガタガタさせて、己の恐怖と闘っていた。


 そして、伝令の最後の叫び、……。


「バルディ男爵邸は、全周とも完全包囲ぃ―――っ!!」


 その絶叫に、女性陣はいまだ沈黙を継続する。

 ホンと、もの凄い精神力だと感心する反面、その一方で、心の中に、これまでかつてないほどの興奮に包まれている己を見出すと、……。


 私って、つくづく創作者クリエーターだ。マジで因果な性格してるんだねぇ、……と英子はじわりと思った。

「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!

英子の作家魂や、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!

この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!

英子と一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!✨

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