09 バルディ男爵邸にて_09
* *
「英子さん、……。ですが、バルディ男爵領は戦後復興期で、予算と人手がまだまだ足りていないんですな!」
「そうでしたか、……」
斎木の言葉に、私(英子)は思わず神妙な顔をしてしまう。
「ですから、まだ、……。現状では、自領で防衛システムを構築できておりません!」
「ワカりました。就寝時間の前に、申しワケありません」
「いえいえ、構いませんよ。お休みなさい」
「お休みなさい」
斎木は笑顔でそう言って、英子のいる客間を出ていった。
「ふぅ~~っ」
英子は深いため息を吐くと、ドレスを脱いで下着姿になった。
ちらりとテーブルの上の日本製の目覚まし時計を見ると、夜の11時30分。
ホンと、……。あっという間だったなぁ。
寝間着に袖を通し、ベッドに横になると、……。今日一日に起こったことを思い出す。
深夜のコンクリートジャングル霞が関を発ち、朝のヤムントの僻地オムラ渓谷に立つ。
その見晴らしの良さに感動していたら、珍しい模様の蝶に出会った。
そして、その蝶を追っていたら、ゴブリンライダーの群れに追われる始末。
その後はボルツ原野を陸自仕様のパジェロでひた走る、……。
日没後は、ここバルディ男爵邸でお世話になり、とても温かくて楽しかった。
斎木がこっそりと教えてくれた、この事実。
バルディ男爵領は、魔物の大量発生に耐えられる体力がない、……。
つまり、一度魔物の群れに襲われたら最後、この領は吹けば飛んで消滅してしまうのだ。
何だか、……。やだなぁ。
そう思いながらベッドに入ると、……。
疲れが溜まっていたのか、何ら気が付くことなく、いつの間にか寝入ってしまった。
深夜、客間で寝ていると、何やら木窓の外から物音がする。
「何だろう? 物音がするんだけど、……」
何となく嫌な予感がしつつも、身体がぶるるとしてきた。
ちょっと、マズいかも。このタイミングで、トイレにいきたくなってしまったのだ。
遅い時間に、カシスドリンクを飲んだのがマズかったのかも、……。
さて、……どうしよっか?
しばらく我慢していたけど、もう無理って思いつつ、客間のドアを開けた。
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